かなり久しぶりの投稿になってしまいました。前回が2月ですから、もう3ヶ月以上経ってますね。
読みもの散歩をサボっていたかというとそんなことはなく、まあ、確かに本職のほうが忙しくて、なかなか帰宅時の電車の中くらいでしか読み進められないというのはありましたが、セレクトした本がアレでしたね、4冊からなるので、やっぱり読了するのにそれなりに時間がかかってしまいました。
というわけで、管理人が読んでいたのは、司馬遼太郎先生の代表作の一つ「国盗り物語」。
いやあ、迷ったんですよね、4冊なので、しばらく記事書けないかもしれないなぁ、というのがあり、手をつけるかどうしようか。でも、歴史小説、時代小説のおすすめっていうと、「燃えよ剣」と、この「国盗り物語」が必ず挙がるじゃないですか(他もですけど)、しかも、歴史好きな友人も「あれ読んでないとか、まじ残念すぎる」とか言うので、読まないわけにはいかないなぁ、と。
手にとってみたら、最初の二冊は「斎藤道三編」で、あとの二冊は「織田信長編」と書かれていたので、「じゃあ、斎藤道三編と織田信長編でそれぞれ記事書けるかなぁ」とかも思ってたんですが、読んでみたら、そんなきれいにスパッとは分かれていないから、結局、分けて記事を書く気にはなれませんでした。
というわけで、読み終えたわけですが、まあ、それだけ評価されてるわけですから、面白いのは間違いないわけで、管理人は「燃えよ剣」よりも、こちらの「国盗り物語」のほうが楽しめました。
まず、前編の「斎藤道三編」ですが、実は管理人は斎藤道三についてはほとんど知見がなく、「この時代の人物で松永弾正と並んで悪いやつ」くらいの認識で読み始めました。
松永弾正に関しては、管理人が大好きな山田風太郎作品には、悪人的立ち位置で度々登場するので、悪人イメージは非常にあるんですが、斎藤道三は管理人が過去に読んだ作品には出てきてないので、どれだけ悪いのかわからず。そんな感じで読んだんですが…。
結果、なんだか、イメージほど悪くないというか、あの時代、成り上がっていくためには、あのくらいのことは必要なんじゃないかなぁ、と。
しかも、やってることは、生まれがよいだけでバカな偉い人を追いやって、美濃の国自体をよくしたっていうんだから、悪いことでもないし、正直、管理人は、結局、生まれの身分が織田信長とは大きく違うこと、つまり、スタートラインが織田信長よりもずっと下だったがために、壮大だった志しを果たせず「主人を追って国を乗っ取った悪いやつ」という汚名だけが後世伝えられる可哀想な人に映りました。確かに、やや手段を選ばずのところはありますが、普通に非常に優秀な人だったんだと思うんですよねぇ、作品を読んでのイメージですけど。
管理人の中では、極めて低い身分から超成り上がった人物というと、今までは秀吉くらいしか挙げられませんでしたが、斎藤道三も加えたいと思います。
そんな道三が認めていた二人、家臣 明智光安の息子光秀と、手を焼いていた隣国の主 織田信秀の息子で、周囲からはうつけ者とバカにされていたものの、道三は一目置いていて娘を嫁がせまでした信長が、後に主従関係となり、本能寺に向かっていくっていうのは、もうなんというか、話としては出来過ぎなのに実話っていう、管理人的には萌え死にそうな激胸熱展開で、なんだ、やっぱ「国盗り物語」最高だなぁ。
そんな道三にも、悲しい最期が訪れるわけですが、その最期を迎えるまでの描写はフラグ立ちまくりでクライマックスに向かう感が凄いものの、最期のその時は司馬遼太郎先生らしく、サクッと逝ってしまうので、管理人は三度見くらいしてしまいました。「え!?これで終わり?え!?」みたいな。司馬遼太郎先生って案外サクッと終わらせますよね?まあ、実際そういうものなのかもしれないですが、もうちょっとこうなんとかならんかなぁ、と毎回思います。
と、3巻の途中で、道三が最期を迎え、そこから、道三の家臣 明智光安の息子である光秀のその後が描かれていく…って、違う、いやいや違わない、なんというか、光秀のその後が描かれるんですが、それがイコール信長のその後になっていて、こう書くと「あぁ、光秀と信長って、お互い好きじゃない者同士なのに、本人達の想いとは裏腹に(物理的にもそうでないところも)近いところにいたのかなぁ」と思えます。ちょっと、光秀が一方的に信長を意識していた感じもありますが。
とにかく後半は光秀が主人公の織田信長編が展開されるわけですが、これがまた管理人は光秀についてもそんなに知見があったわけではないので、非常に楽しめました。あれが本当だとすると、まあ、本能寺の変は起こるべくして起こったかなぁ、と。日本史上屈指の謎多き出来ごとで、真の犯人からなにから諸説あるようですが、一番スタンダードな説がこれですよね、きっと。
しかし、これを読んでわかったのは、光秀もかなりの苦労人なんですね。
生まれは悪くない(らしい)のに、あの時代のあの流れで、途中、相当困窮した暮らしをしたのだなぁ、と。
しかも、光秀だって、成りあがっていくために、まあまあ裏切りというか義を欠いたことはしていて、ただ、それを苦しみ・悩んでやっているあたりが道三のそれとは違っていて、光秀らしいのだなぁ。
光秀が残念だったのは、あれかなぁ、プライドが高くて、それが悪いほうに作用するところが大きかったところかなぁ、なんてのが管理人が思ったところ。
道三もプライドが高い印象なんですが、それが良いほうに作用している感じなんですよねぇ。それが光秀の場合は、良くないほうに作用しているような…。
その点、秀吉は、本当に要領よくやる人だったようで、信長は見事に両極端な人物を右腕・左腕にしていたんすねぇ。
ということで、内容についてあんまり触れてしまうとネタバレするので控えますが、管理人的に一番印象に残った場面は、道三と信長が会うところですね。あの二人、会ったのってあの一回だけなんですかね?そのあたり事実がどうかよくわかりませんが、あの場面は、なぜか非常に緊張して読みまして、結果「なんじゃそら」になったので、なんですかねぇ、非常に印象に残ってます。あのやりとり自体も、本当にあの通りだったのかどうか…。
とりとめがなくなってきたので、そろそろ終わりにしようと思いますが、この作品は、信長の父、織田信秀が尾張でその地位を築いていっているのと同じくらいの時期に、隣国美濃で、お坊さん・油売りから大名に成りあがった齋藤道三の成りあがりぶりと、その後、信長が天下統一に向かっていくなか本能寺の変が起こり、最後、光秀が討たれるまでの、美濃・尾張・近江あたりを中心に繰り広げられる、まさに国盗り合戦の話です。
これを読んでいる時に、ちょうど、来年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が明智光秀を主人公にしたドラマという情報を得まして、事前に光秀を知るのに非常によかったですねぇ。
光秀役を、長谷川博己さんが演じるということですが、管理人的にはハマってていい感じだと思ってます。ますます楽しみになりました。
あ、そうそう、話は飛びますが、これを読み終えた頃くらいに「本能寺ホテル」っていう映画を見たんですが、内容は現代と過去を綾瀬はるかさんが行き来するっていうものでちょっとアレなんですが、「本能寺ホテル」ならではのやり方で、未だに真偽や方法が議論されているらしい「中国大返し」のIF(もしも)を絡めてきたのは、管理人的には「なるほどね」ってなりました。「ああ、こういうことならアレは実現できるかぁ」みたいな。実際はあんなわけはないだろうし、ホント、全然「国盗り物語」に関係ないですが。ちょっと面白かった。
最後に、この作品の中でも「越後の上杉」は、道三や信長らどの人物からも非常に評価が高く、別格の扱い、脅威になっていて、越後出身の管理人は気持ちよくなりながら読むことができましたねぇ。
ということで、私なんかが改めて言う必要はないんでしょうが、未読の方は、来年のNHK大河「麒麟がくる」の予習にもなりそうなので「国盗り物語」、是非読んでみてください。
あー「麒麟がくる」楽しみだなぁ。
歴史には浪漫がある。
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