その後の日本の歴史に大いに影響を与えたであろうあの決断の真相は果たして…。楠木正成と並ぶ二大悪党の一人 播磨の悪党 赤松円心の跳梁ぶりを描いた「悪党の裔」

北方謙三

こんにちは。
久しぶりの投稿です。
前回の投稿から一ケ月くらいになります。
一ケ月の間にすっかり季節は秋になりまして、なんなら冬ももうすぐそこという気配です。
寒くなりました。

このブログの投稿でも常に話題にしてきたコロナですが、なかなか中途半端な状態でして、ワクチンが出来たわけでもないんですが、東京がGOTOキャンペーンに入るようになったり、飲食店の夜間営業の自粛もとりやめになったりと、危機感は下がる方向にいってます。
それに合わせるように、会社への出社も増えてきてまして、私は行ってないんですが、同僚らはわりと飲みに行ったりを平気でおこなっているようです。
私は恐らく「コロナ脳の人」の部類に入るのだと思います。
家族以外の外食は控えてまして、出社も週の半分くらいにしてます。
それでも、春先に比べたらだいぶ警戒感は薄くなってきているなと感じてます。
とはいえ、罹患したら大変なんだろうなと思うと、そう容易には外食したりはできない気分なんですが、どうなんですかねぇ、本当に考え方は人それぞれなんだなぁと思います。
とりあえず、私はまだまだ警戒して生活していこうと思ってます。

さてそんな中、一作品読み終えました。上下巻あったのでちょっと時間がかかりました。
前回投稿の際の予告通りに、また鎌倉時代から南北朝時代にかけてのもので、北方謙三先生の作品「悪党の裔」(あくとうのすえ)です。

面白かった!
んですが、それは管理人が今この時代に非常に興味を持っていることが影響しているかもしれません。
この時代のものを読むにあたって、最初に読むとするとちょっとどうかな?と思います。
赤松円心(あかまつえんしん)の知名度がイマイチなんじゃないかと。
少しでもこの時代の話を知っていると名前は聞き覚えがあると思うので違うと思いますが。
まあ、そう言ったら、前回投稿の北畠顕家を扱った「破軍の星」も、もしかしたら、そうかもしれませんねぇ。
管理人は非常に楽しめました。

本作は、鎌倉時代から南北朝時代にかけての人物で有名な楠木正成(くすのきまさしげ)と並ぶ二大悪党の一人、赤松円心(あかまつえんしん)を主人公にした作品です。
赤松円心は、播磨国(はりまのくに)なので、いまで言う兵庫県のあたりを本拠地にした、いわゆる「悪党」でして(「悪党」ってなんぞ?というのは、過去の投稿を読んでいただくか、wikiとかで調べてください)、南北朝時代突入に際して、近畿地方で楠木正成やら大塔宮(おおとうのみや)やら足利尊氏(あしかがたかうじ)やら後醍醐天皇(ごだいごてんのう)やらと、時に同調、時に敵という感じで、跳梁(ちょうりょう)した人物です。
円心というのは法名(ほうみょう。浄土真宗における仏弟子(ぶつでし)につける名前なんだそうで、つまり、円心は浄土真宗の人ということか。)ということで、則村(のりむら)というのが元の名前だそうですが、この法名というのがよくわかりません。
出家してお坊さんになったわけではないっぽいんですが、坊主頭にしてそれらしい装いはしていた風なのに、馬に乗って戦(いくさ)するって、それお坊さんじゃないよね?ってことで管理人はそのあたりよくわからずにおります。
本作を読むのに支障はなかったのと、あまり深くは考えずによさそうと思ってます。

そんな赤松円心ですが、楠木正成に比べたら知名度が低くて(と個人的には思ってんですが、実際どうなんでしょ)、その理由は、太平記やら他の作品を見てるとなんとなくわかるんですが、とはいえ、楠木正成と並ぶ二大悪党と言われ、実際にあの時代のメインキャストの一人ではあるんだと思います。
そんな円心ですが、彼には彼なりの考えがあってああいう立ち回りをしたのだろうと思っていたので、そのあたりを創作ではあるものの「知ってみたいな」と思っていたところで本作を手にとってみたのですが、さすが北方謙三先生。面白かったです。

内容は、赤松円心が既に悪党としてかなりの力を持っている状態で始まりまして、まさに「太平記」で描かれるあたりがメインになります。
なので、赤松円心が、あの時に、どういう心境で、どういう行動をとっていったのかといったあたりは存分に描かれるのですが、それと並行して、足利尊氏や、楠木正成、大塔宮ら、あの時代の主役たちが赤松円心から見た姿で描かれるのがまた絶妙に面白い。

少しネタバレになってしまいますが、同じ北方謙三先生作品の「楠木正成」では描かれなかった楠木正成の最期が本作ではそこそこ描かれます。
前回投稿の「破軍の星」でも、そこは「ナレ死」状態なんですが(「ナレ死」については、ググるとかで調べてください)、本作では違います。
なんというか、哀しく、切なく、悲壮感を伴った情景が、読んでいるこちらはもちろん、円心からもその心情が伝わる最期です。うわ、思い出したら泣きそう。

もちろん、その他の主要キャラクターに関してもいろいろと円心との関わりの中でその姿は描かれまして、別作品で見るそれぞれの姿とは違った赤松円心から見た彼らの姿は、また興味深いものがあります。

本作を読む前に気になっていたのは、やはり最終的にとった赤松円心の動きの是非でして、一般的には倒幕の際の評価が赤松円心にあの行動をとらせたというのが主流みたいですが、果たして本当にそれだったのかというあたり。
そのあたり、当然ながら北方謙三先生の創作になるんでしょうけど、北方謙三先生なりの解釈で描かれてまして「なるほどなぁ」と思えました。

赤松円心についてはですね、こう、なんていうんでしょう。
当時は、ホントに楠木正成と並ぶ二大悪党で、凄かったんだと思うんですよね、実力も影響力も。
しかし、後世に語られるような楠木正成ほどの英雄感がない(と思う)。
それは、やっぱりあの時の彼の動き方なんだと思いますねぇ。
でも、そこには彼なりの考えがあって、本作を読むと「そりゃそうだよなぁ」と思える。
ただね、個人的にはやっぱり「魅力」があるかというと、そうは思えないんですよねぇ、残念ながら。
超現実主義に見えるのかなぁ。
いや、それも悪くないんだろうに、物語や伝説として見聞きするには、ちょっとカッコよく見えない。
なので、本作は非常に面白かったんですが、「円心かっこいいぜぇ」となるところはなかったかなぁ。
そういうのは、期待せずに読むとよいと思います。
まあ、当時のことをある程度知っている人が読む作品だと思うので、そのあたりはやはりそういう感じなのです。
あー、とはいえ、楠木正成と赤松円心の評価というのは、時代とともに変わってきているのでは?と思ってまして、実際、楠木正成は、江戸時代前までは悪者扱いだったそうなので、その時は赤松円心がヒーロー扱いで、今のそれとは逆だったのかもしれない。
そう思うとイメージ操作でどうとでもなるなぁとは思います。面白いなぁ。

赤松円心は、楠木正成をライバルと思っていたのでしょうねぇ。
しかし、楠木正成はそう思っていないというか、見ているところが赤松円心のそれとは違う感じ。
赤松円心の行動の基準は最後まで「自分のため」で、楠木正成はそれが「人々(日本)のため」であったような印象。
赤松円心もそれに気づいてはいて、そして「かなわねぇなぁ」と思っていたんじゃないかと。
どちらが正しいか、ということに拘ったかどうかはわかりませんが、最期に「正成出てこい」と望んだ円心の心情は、「かなわねぇなぁ」と感じた自分の感覚に是非をつけたかったように思えました。
そういう赤松円心には、多少の親近感を覚えます。
そして、そういう赤松円心の心情から、逆に楠木正成や、大塔宮、足利尊氏の凄さが感じられました。
赤松円心もとんでもなく凄い人なんですけどね。

あっと、忘れてましたが、一つ前の投稿で管理人が一気にファンになってしまった北畠顕家も出てきますよぉ。ちょっとですが。
やはり、本作でも、一目置かれる人物として描かれ、カッコいいです。
例の快進撃もちょっとありまして、管理人「きたぜ、きたぜ。顕家がきたぜぇ。」と盛り上がってました。

話を戻しまして、管理人、「悪党」の定義というのがイマイチよくわかりませんが(wikiとか見てもイマイチわからない)、感覚的には「悪党らしさ」は赤松円心にあり、楠木正成は真に悪党だったかなぁというと違和感あります。
ああ、そのあたりが、こう「おぉ!円心かっこいいぜぇ」にならないので、つまり、管理人は「悪党」そんなに好きじゃないかもしれません(笑)。
だって、野伏(のぶせり)とか野盗(やとう)で構成されてたっていうし、そのあたりもちょっと…です。

ただ、「公家」と「武士」の対立おいては、あの時代「悪党」が多いに影響したのだと思うので、管理人、もう少し「悪党」について勉強しないとです。

さて、全く作品の内容がわからないっぽいレビューになってますが、内容的には本当に太平記のそれというか、史実に基づいた世の流れの中で、赤松円心がそれぞれの局面でどう考え、どう行動したか、そして、周りの家族、部下、協力者、敵、のそれぞれを、赤松円心からの視点で描いていくので、あの時のメインキャストの一人でありながら、主役にするには微妙な赤松円心の行動を知ることや、人となりを想像するのに非常によかったです。勉強になりました。
赤間円心が中心なので、舞台はほとんどが近畿地方で終始します。ほとんどどころか全部かなぁ。
関東の情勢についてもあまり詳細は描かれず、東北や九州に至っては更に少ない感じ。
但し、その分、近畿地方の情勢は非常によくわかります。
赤松円心って、東のほうには行かなかったのかしら?

そうそう、本作では、わりと忍者っぽいキャラクターが多く出てきまして、最終的にそれらの人物の一部の出自に非常に驚かされるんですが、あれって創作ですよね?実際そうだとしたら凄いなと思います。
あ、でも、読んだ後で知ったんですが、事実として、赤松円心の弟で円光という方がいたらしく、その方の奥さんは楠木正成のお姉さんということらしいので、赤松円心と楠木正成は縁戚関係にあったようです。
凄い人というのは、凄い人たちで何かしらの繋がりがあるものなんですねぇ。

というわけで、また愚にもつかないレビューになりましたが、あんまり主人公として描かれた作品はないんじゃないかと思われる播磨の悪党 赤松円心の跳梁ぶりを描いた本作、是非読んでみてください。
赤松円心から見た「太平記」ですから、面白いです。

今、NHK BS で、日曜日の早朝やっている「太平記」の再放送を見ている方なんかには、非常によいんじゃないかなぁと思います。
赤松円心は、渡辺哲さんが演じてますが、個人的にはイメージ合ってていい感じです。
この後の「太平記」を見るにあたって、スピンオフ的に本作を読むのも、楽しみ方のひとつかと思いますね。
実際、管理人そんな感じです。
そっちも楽しみに観ていこうっと。

歴史には浪漫がある。

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