この作品は、管理人おススメの一つ!
世の評価はそうでもないようですが、個人的には相当楽しめました。
タイトルは「直江兼続と妻お船」となっていますが、間違いなく主人公は兼続(かねつぐ)の妻のお船(おせん)です。
全体的にはフィクション要素少な目といいますか、史実に対して忠実に、演出というか、説明だったり、キャラクターの心情だったりを付加して物語にしているような感じのもので、なんていうんでしょう、良質の伝記モノみたいなイメージなんですが(あくまでも管理人目線)、お船の心情等を使っていい具合にあの時代の情勢が表現されていて、管理人は理解がしやすく非常に楽しめました。
特に御館の乱(おたてのらん)はこの作品のハイライトのひとつかと思うんですが、景勝サイドと景虎サイドの動きの差がよくわかって、一気読みせずにはいられません。ああ、景虎…。
まず、この作品、主人公のお船はのちに直江兼続の奥さんになりますが、元々、幼い頃からの知り合いで、幼なじみといってよい間柄なんですが、お船14歳、兼続(幼少時は樋口与六)11歳からスタートします。お船は兼続より3歳お姉さんなんですね。そして、お船が亡くなる81歳までが描かれます。つまりあれです。そういうことです。
少しネタバレですが、兼続はお船の二番目の夫です。なので、そうなんです、この作品の前半は兼続があんまり出てきません。いや、まあ、幼なじみですし、関わりは濃いので出てはきますが、なにしろお船が主人公ですからそれなりです。
そして、兼続の幼名が樋口与六(よろく)っていうくらいですからアレですね、そうです、兼続はお婿さんでお船が直江なわけなので、まあとにかくお船がすごいんです。直江家を継ぐ女性なのですごいんです(二回目)。あれですよ、戦国の時代、伊賀、甲賀、風魔と同じかそれ以上と言われた上杉家自慢の忍集団 軒猿(のきざる)がアレなわけで。もう。
そのお船が主人公で、お船目線で物語は進むんですが、とはいえ、お船は女性ですから、それなりに乙女チックな心情を表す描写あり(管理人が幼少の頃に読んだ「なんて素敵にジャパネスク」の瑠璃が真っ先に思い浮かんだ)、それでいて男勝りの活躍を見せる描写ありで、さらにその時代の世の情勢もいい具合に盛り込まれているので、「へぇ、なるほどそういうことだったのかぁ」と思えるしで、もう本当に面白い。
戦場に兼続(と前夫の信綱)を送り出す時のお船の気持ちを描写するところなんて「まあ実際はそうだよねぇ、うんうん」みたいな感じで共感します。
一方の兼続は、もうご存知の通り男前ぶりを発揮しまくります。なんてったって「某(それがし)は生涯、側室を持たぬことを誓います」ですからね、そしてそれを実践するわけですから、もう男前爆上がりですよ。キャーなんてかっこいい。(管理人はノンケですので勘違いせぬよう)
しかも、賢く、義に厚く、戦も強い、って三拍子揃ってますから、もう反則でしょう。
そりゃあ、秀吉が家臣になって欲しいと熱望するわけだ。
というわけで、あんまり書くとネタバレになるといけないのでやめますが、とにかく、この作品は兼続の妻 お船を主人公に持ってきたことが秀逸で、これによって他作品では味わえない、別目線であの時代を上手く伝えることができてるなぁと思ってます。
この作品をベースに、内容をもっと濃くしたらNHK大河ドラマにできるんじゃないかなぁと思えるんですがどうですかね?
直江兼続は「天地人」やったからもうダメかなぁ。
違う目線だからいいと思うんだけどなぁ。
時代小説というよりも歴史が好きでフィクション少なめを好む方ならドンピシャ。
上杉家、直江兼続好きなら更にドンピシャな管理人超おすすめの一冊です。
表紙がちょっとアレなんですが読んでみてください(すいません、好みの問題だと思うんですが、どうにもあの表紙が…)。
歴史には浪漫がある。
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