こんにちは。
賛否両論あったオリンピックが終わりまして、パラリンピックが始まっています。
なんだかんだで、始まってからは個人的にはとても楽しませてもらっています。
あんなに盛り上がるイベントが、コロナによる外出自粛や無観客での実施になったことが本当に悔やまれます。
本来なら国をあげての盛り上がりになったはずなのに、状況によっては、なんとなく楽しむことが憚られるようだったり、選手にしても、参加すること自体が憚られるような心境が僅かながらにでもあったかもしれず、残念でなりません。
ホント、万が一にでも、コロナが人為的に発生させられたものだとしたら、犯人許すまじの気持ちでいっぱいです。
そして、困ったことに、オリンピックの開催が関わっているのかいないのか定かでないですが、日本国内の感染者数が爆発的に増えていて、これまたどうしたものかと…。
個人的には、オリンピックをやっておきながら、パラリンピックをやらないというのはどうかなぁと思うところなので、パラリンピックが始まったのはよしとして、感染者数を増加させないように、今しばらくの我慢をしていきましょうよ、と思う次第です。
さて、そんな中、一冊読了したわけですが、今回はちょっと仕事の関係で趣味の本を読む時間がなかなか割けず、前回からだいぶ時間が開いてしまいました。
本職は全然違うことをしてますので、技術書やらビジネス本も読まねばならぬわけです。
今回、そんな合間を縫って読んだのが、超ひさしぶりの童門冬二先生(これまでに、直江兼続と上杉鷹山の作品を読んでます)で、且つ、「え、急にそこ?」みたいな感じですが、徳川政権二代目を扱った「小説 徳川秀忠」です。
外出した折に、ふと立ち寄った本屋さんで、たまたま目に入ってきた伝記本らしいタイトル(フィクション感が低めな感じの)と、書籍や映像作品やらでチラチラと出てくるものの、いまいち活躍ぶりがわからないし、なんとなくパッとしないイメージ(あくまでも個人的な意見)な徳川秀忠さんにちょっと興味を惹かれまして手にとってみました。
管理人の中では、2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」で、星野源さんが演じたイメージと、関ヶ原の遅参くらいしか知見なしでした。
読了後にわかったんですが、上野樹里ちゃん主演の2011年NHK大河ドラマ「江(ごう)~姫たちの戦国~」は、思いっきり秀忠の奥さんで本作では江与(えよ)として登場する崇源院(すうげんいん)が主役の作品だったんですね。
管理人、「江(ごう)~姫たちの戦国~」は観ていないので、今度、観ないとなぁ。
キャストも魅力的ですねぇ。
ちなみにこの時の秀忠役は向井理くん。
驚いたのが、この時に北大路欣也さんが徳川家康をやっているんですね。
今やっている「青天を衝け」は再演だったわけですねぇ。
かなり脱線してしまいました。
話を戻します。
本作の感想ですが、面白かったです。
童門冬二先生の作品らしく、あまり劇的な要素を多くせず、ある程度の童門冬二先生の解釈を交えつつ、粛々と史実に沿った作りになっているのは「歴史小説」という感じにふさわしく、子どもの頃に読んでいた伝記本の大人版のような雰囲気で、知見を得る目的で読むのにもなかなかよいなと改めて思いました。
話は、関ヶ原の後から始まるのですが、始まって早々に、過去の経緯を語る展開になりまして、前半は過去の出来事の振り返りになります。
その中で、ある程度、秀忠が幼少の頃からの様子は把握できることと、家康の後継が、兄(次男)の結城秀康(ゆうきひでやす)でなく、三男である秀忠になる経緯や(長男の信康は非常に優秀だったそうですが、優秀だったが故に残念なことになりますよね)、管理人も知っていた関ケ原合戦への遅参のあらましなども語られていくので、そうですね、おおよそは、豊臣秀吉が亡くなったくらいからの話と思ってもらってよいと思います。
前半はそんなことで、関ヶ原合戦にまつわる話がメインになるんですが、ここで、本作の特徴の一つになると思われる、秀忠の関ケ原遅参に関する童門冬二先生説が発動します。
これは、管理人予想してなかったので、「ほほう、なるほど」と思いながら読みまして面白かったです。
内容については伏せますが、実際のところはどうなんですかね?
世の中的には、この説もあるのでしょうかね?
少なくとも管理人は、今後、秀忠の関ケ原遅参が出る時は、童門冬二先生説も頭に浮かべるのと、それに関する資料等を見ることがあれば、そのセンも踏まえて思いを馳せてみたいなと思ってます。
兄 結城秀康の話は、先日読んだ蓑輪諒先生の「くせものの譜」で少し知見を得ていて、良君ということでかなり評価が上がっていたので、不遇を受けたその足跡を辿るにつれ、ホント、徳川家康に対する好意はダダ下がりする一方で、そんな境遇にありながらも、弟の秀忠を気遣う秀康の評価は、管理人の中でさらに上昇しました。
後半は、秀忠が征夷大将軍を引き継いだ後の話になりまして、管理人、認識がなかったのですが、大阪の陣の頃は、既に征夷大将軍は家康から秀忠に移っていたのですね。
まあ、実権は家康が握った状態だったようなので、名ばかり征夷大将軍の秀忠は気の毒で、そのあたりの苦悩は本作で描かれますし、容易に想像もつくなぁと思って読んでました。
ただ、そんな中でもクサることなく(実際はクサることもあったんでしょうけどねぇ)、父や周囲を固める人たちとのバランスをとり、それなりに徳川の権威を世に知らしめる施策もおこない、自分の息子である家光(いえみつ)にきちんとバトンを渡していくことになるわけで、よく考えたら、秀忠も相当大したものなんだと思うんです。
凡庸な二代目というイメージがありましたが、父の遺志を継ぎ、その後の徳川260年を作る礎を担ったと間違いなく言えると思えました。
しかし、あれです、本作を読んでみて、改めて家康のセコさがですねぇ、なんといいますか、うーん、やっぱり管理人は好きじゃないですねぇ(笑)。
秀忠も作品の中で、家康のやり方は好きじゃない的なことを言っていたような。
秀吉が亡くなった後からの暴挙というかそれがもうやっぱりセコいですよね。
言い訳もセコい。
勝手にやったらダメと言われている大名同士の婚姻を問われた時の言い訳とか、方広寺の鐘銘事件の言いがかり感の酷さとか、もうほんと全然かっこよくない。
上司だとしたら、全然、見習いたくないですが、結果、それで天下取れてますからねぇ、まったくもう。
とはいえ、そこから、世界でも類を見ない260年の太平の世を作りだしたと考えると、そのやり方が間違いとも言い切れず、でも、家康もそんなことになると思ってたかと言われるとどうだか。
本人、天国で(地獄かもわからないですが)「え、そんなに続いたの?マジ!?いやぁ、だろぉ、俺、すごいだろぉ?」ってくらいじゃないかなぁ。
まだ、日光にいったことがないので、将来、日光に言った際には、是非、東照大権現様に聞いてみましょう。
後半は、そんなこんなで、今後の秀忠のことを考えた家康のおせっかい政治のあらましや、もはやそれらを達観したかのような面持ちで見守っていく秀忠と、そんな秀忠に厳しく突っ込んでくる奥さんお江与さんに、これまた心穏やかにお付き合いしていく秀忠、そして、父家康が自分に対してやってくれたように、その後のことを考えて家光のためにいろいろと画策する秀忠のことが存分に描かれます。
管理人的には、その他にも新しい人物の知見が得られてもいまして、大久保忠隣(ただちか)や、本多正信・正純父子、土井利勝といった人物は知らなかったものですから、その点でも興味深く読むことができました。
まだまだ、知らない優秀な人物がいますねぇ。
というわけで、またまた今回も内容薄く、愚にもつかないレビューとなりましたが、先にお伝えしたとおり、伝記本的要素の高い(というか伝記本でいいのか?)作品なので、「徳川政権二代目の徳川秀忠ってどんな感じだったのかなぁ」と興味のある方は、是非読んでいただくとよろしいかと。
管理人は、徳川将軍15人のうち、きちんと代と名前を合致して言えるのが、初代の家康と15代の慶喜(よしのぶ)くらいだったのが、二代目が秀忠、三代目が家光と言えるようになりました。
いぇーい。
しかも、「武家諸法度(ぶけしょはっと)」と「禁中並公家諸法度(きんちゅうならびにくげしょはっと)」も覚えました。
歴史のテストで答えられそうです。
この調子で、家光以降も一人づつ読んでいくと、15人全部言えるようになるかもしれないなぁ、なかなかいいぞ。
「凡庸」「愚図」「不肖」な二代目などという不名誉な評価がされているらしい秀忠ですが、果たしてそうですかねぇ、これを読む限りそうとは思えないなぁ。
是非、本作で確かめてみてください。
歴史には浪漫がある。
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