こんにちは。
もう梅雨入りしちゃうんじゃないかというくらい雨が多いです。
西日本側はかなり早い梅雨入りをしたようで、関東も早いんじゃないでしょうか。
当初、4月25日から5月11日までと言われていた緊急事態宣言期間が、管理人の予想通り5月28日に延長になり、この度、さらに6月20日まで延長になりました。
これにより大きく影響を受けている業界の方の心中を察するも、思うように感染者数が減らないという状況もあるようなので、いかんともし難い状況にため息が出るばかりです。
どうやら、この状況ですが、オリンピックは強行する方向のようでして、果たして、本当に感染者の拡大なく実施できるのかどうか…。
それとは反対に、子供たちの学校行事などは中止や規模縮小という形になっているようで、子供たちはもちろん、それを楽しみにしているであろう親御さんも、子供の活躍や笑顔が見れないというのは、気の毒で仕方ありません。
実はこの期間中に、同じオフィスの別会社の社員の方がコロナ感染するという事態がありました。
幸いオフィス全体でテレワークを多めにしていたこともあり、その方以外の感染はありませんでした。
その方も、後遺症はないようでよかった。
とはいえ、いよいよ、身近な人での感染がチラホラ発生しているので、ここは今一度気を引き締めて、感染防止に努めたいと思います。
ワクチンの投与も開始されてますので、そこまではなんとか感染せずに踏ん張りたいところです。
まだまだ、管理人の順番までは時間がかかりそうですが…。
さて、そんな中、読了したのは、実は一年ぶりで、一年前に「桔梗の旗 ~明智光秀と光慶~」を読んで以来の谷津矢車先生の「三人孫市」です。
うわぁ、もう、あれから一年経つのかぁ。
その時の投稿で書きましたが、当時、司馬遼太郎先生の「義経」を読んでいたにも関わらず、本屋さんで「桔梗の旗 ~明智光秀と光慶~」を見つけて、チラっと読んでしまったら、あまりに面白くて、一気読みしたんですが、それが、もう一年前ですか。
まいったなぁ、この勢いで歳をとっていくのかと思うと、なんだかのんびりもしてられないなぁと、若干、危機感を感じてしまう管理人です。
話を戻します。
一年ぶりに読んだ谷津矢車先生作品でしたが、面白かった!
ぶっちゃけ、★5をつけた「桔梗の旗 ~明智光秀と光慶~」に並ぶくらいに面白かったんですが、同じにしてしまうとイマイチかと思うので、★4.5にしてますが、読む方によっては、こちらのほうが面白いかもしれない。
正直な話をすると、実は本作、あまり期待していませんでした。(失礼が過ぎる…、すいません)
管理人、読む本を切らせたくないので、いつも、これから読む本というのを数冊ストックしてまして、本作は結構前からストック入りしていたのですが、タイトルの「三人孫市」から、勝手に影武者の話を想像してまして、かつ、あの雑賀孫市氏なので「鉄砲撃ちだよねぇ」的な、なんといいますか、こう、刀剣が見えない、サムライ感が低めな予想を勝手に抱き、ちょっと手を伸ばさずにいました。
間違ってました。
谷津矢車先生、すいません。
めっちゃ、面白かったです。
サムライ感が低いなどとんでもない。
後述の★評価は、サムライ度★4です。
ということで、いろいろと管理人の先入観が間違っていた本作、内容をネタバレしない程度にご紹介します。
まず、タイトルの「孫市」ですが、これは、このブログを読んでらっしゃる方はご存知と思いますが、言わずとしれた鉄砲用兵で名を馳せた雑賀衆の中にあって、服部半蔵とか歌舞伎で用いられる名跡(みょうせき)のように、雑賀衆の棟梁に代々名付けられる「雑賀孫市」(孫一とも書くそうです)のお話です。
この「雑賀孫市」ですが、実は詳細については未だ不明な点が多いらしく、本作はその点を上手く使って書かれてます。
まず、「雑賀孫市」ですが、実際の名前で有名なのが「鈴木」姓であった「鈴木孫一」です。
いや、違うな。
それも違っていて、記録上、見えているのは「鈴木重秀(しげひで)」「鈴木重朝(しげとも)」「鈴木孫一郎(まごいちろう)」らしく、彼らが「孫市」を襲名していたみたいなんですが、重秀の父「鈴木佐太夫(さだゆう)」も「孫市」だったみたいなので、まあ、とにかく、当時の雑賀衆の棟梁的な立場であった人が「孫市」と呼ばれ、それが、鈴木家から出され、外からは「雑賀の孫市」と呼ばれていたことで「雑賀孫市」と呼ばれることになったということらしいです。
そして、本作です。
本作の「三人孫市」は、父を「鈴木佐太夫」とする、長男「鈴木義方(よしかた)」、次男「鈴木重秀」、三男「鈴木重朝」の三兄弟による「孫市」のお話なんです。
実際に記録のある「重秀」「重朝」を兄弟にして、かつ、その二人の上に「義方」(義方はオリジナル、の認識ですがそうですよね?)という長男を設けて、父佐太夫(この方も記録はある様子)とその三人によって「雑賀孫市」が歴史に名を遺していく様を描いた作品になってます。
ちなみに、孫一郎はですね、出てるのかなぁあれは。
孫一郎を予感させる人物は登場してくるので、そのあたりは読んで確認してみてください。
父の「鈴木佐太夫」は、かつて「孫市」の称号を担っていただけに、雑賀衆からは一目置かれてます。
その父が「よし、んじゃ、孫市はお前ら三人とも名乗っていいので、継いで頑張ってくれたまえ。」というところから話は始まります。
なので、管理人が当初抱いていた影武者云々は全くの見当違い。
思い込みはいけませんね。
長男の義方は、身体が弱く、とても戦に出て活躍する感じじゃないんですが、そこに刀月歳(とうげつさい)なる謎の人物が現れて、鉄砲の存在を義方に伝えることによって、身体の弱い義方に、戦国の世での自分の立ち位置に希望を持たせることになります。
次男の重秀は、まさに武人という感じの人で、鉄砲よりもパワー系の武器を用いての戦いを得意とし、見た目とその佇まいが、ザ・サムライなので、オラオラ状態で、雑賀の人たちからは慕われます。
史実では、この重秀が、石山合戦において、鉄砲用兵を用いて活躍し、雑賀衆の名を世間一般に知らしめたと言われているようです。
本作での解釈は、読んで確認してみてください。
三男の重朝は、オタク臭満載で何を考えているかわからない感じなんですが、鉄砲の腕が超絶天才的で、なんというか、ズバリ、和田竜先生の「小太郎の左腕」の小太郎そのものといった感じ。
その三兄弟が、雑賀荘と雑賀の人たちを守るために、最初は協力して戦っていくのですが…。
という内容。
和田竜先生の人気作品「村上海賊の娘」でも取り上げられた石山合戦を含め、大局的な部分は史実に沿っていると思うのですが、その実はこうであった、という部分を三兄弟を使って上手く仕上げてまして、そのあたりがまず面白い。
雑賀衆というのは、大名により統括された人達ではなく、紀伊国(和歌山県)の北西部のいくつかの地域の地侍で構成された人たちのことだそうで、その中での取り決めは、各地域のリーダーが集まって合議制によって行われていたのだそう。
その地域リーダーの一人が、かつては三兄弟の父であった鈴木佐太夫であり、本作品では嫡男の鈴木義方になり、それがつまり、鈴木孫市というわけなのですが、この雑賀衆、こういう構成なだけに、内部分裂を起こしたりして、石山合戦では一方は織田信長方につき、一方は石山本願寺方についたりと、かなり複雑な動きをしていたようです。
石山合戦以後も、その複雑というか内部分裂した状態で、各々の「雑賀衆」が時には敵味方に分かれて各地で活躍するという史実とこの三人の孫市を絡めたあたりが、本物っぽい感じになっていて面白いんです。
但し、その三兄弟の地獄のような運命は、筆舌に尽くしがたく、もうそこは読んで泣いていただくしかないかなと思います。
そうなんです、この作品、めっちゃ、辛い作品なんです。
カバーの帯には「狙うは、信長の命ただひとつ!異形の三挺『愛山護法 陸・海・空』が戦国の世をゆるがす!!」って書いてまして、なにやら興味をそそる三挺の鉄砲が気になりますし、確かに、三兄弟に託された銃はそれぞれ個性のある銃で『愛山護法 陸』『愛山護法 海』『愛山護法 空』と書かれたものですが、それよりも、三兄弟の哀しく儚い人生の様がポイントなので、そういう作品だと思って読んでください。
決して、その個性的な銃で、三人が異次元バトルをするようなヒーローものではありません。
そして、実際にそうなんだと思ってますが、雑賀衆は八咫烏(やたがらす)を祀っていて、その巫女として登場する「さや」という女性が、また、本作品を盛り上げるのに一役どころか、二役も三役もかってまして、そのあたりも注目してもらいたいのと、それもあって、本投稿のアイキャッチ画像はそんな感じになってます。
三兄弟にとって、本作にとって、非常にキーになる女性です。
ちなみにこの八咫烏、日本の神話に登場するらしく、導きの神とか太陽の化身とか言われるのだそうです。
足が三本あるのですよね。
日本サッカー協会のマークに書かれている鳥が八咫烏です。
知ってました?
管理人はサッカー好きなので知ってました。
映像化はできます。
尺的にも映画でちょうどよいかもしれません。
キャストも見える、見えるぞ。
義方は彼で、重秀は彼だな。重朝は…。さやは彼女とか…。妄想がすぎるな…。
ラストをいかにいい感じにするかは難しい。
作るとしたら、是非とも、悲壮的な感じだけで終わらず、未来を感じさせるラストにしてもらいたい。
超勝手な妄想…。
というわけで、そろそろ終わりにしましょう。
今回も愚にもつかないレビューとなりましたが、本作は、鉄砲用兵で有名な雑賀孫市のお話ではありますが、その雑賀孫市を有名にしたなりたちを、史実とともに、鈴木三兄弟の活躍…というようりも、哀しい運命に翻弄されていく鈴木三兄弟の様子とともに描いた、涙なくしては読めない作品になってます。
ハンカチを手元に置いて読んでいただければと思います。
面白いです。
管理人的には、谷津矢車先生作品の中で1、2を争う作品です。
是非、読んでみてください。
歴史には浪漫がある。
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