甲賀10人vs伊賀10人の奇想天外超絶忍者バトル。山田風太郎の忍法帖シリーズ第一弾にして忍者ブームの火付け役「甲賀忍法帖」

山田風太郎

管理人の時代小説ハマりはこの一冊から始まりました。

実写化もされているようですし、漫画・アニメ化された「バジリスク」の原作となる本作品。管理人はやりませんがパチスロでも有名なのかな。
もう、とにかく有名でここで紹介する必要もないかもしれないですが、管理人が時代小説・歴史小説を読むきっかけとなった作品なので書かないわけにはいきません。
忍法帖シリーズはそこそこ読んでいるので、どれから記事にしようかなぁと思ってましたが、やはりこれからスタートしないとダメかな、と。

もう、なんでしょう、これ以上ないってくらい奇想天外度は突き抜けてます(笑)。
ああ、でもこれに限らないなぁ、山田風太郎作品は、どれも相当に奇想天外。
でもどれも面白い。
ぶっちゃけ「奇想天外度」の評価項目は山田風太郎のために用意してます。

この作品、徳川家康からのとんでもない命令で、甲賀忍者10人、伊賀忍者10人が生き残りをかけて戦うことになってしまうんですが、まあ、この総勢20人の忍者の個性的なこと。
どうするとこういう発想できるんだろうと思えるほど個々の能力がキテレツ。

地虫十兵衛(じむしじゅうべえ)という忍者がいるんですが、読みながらその風貌が想像しづらく、何度か読みかえしても想像しづらくて、「自分の地虫十兵衛の風貌のイメージって合ってんだろうか?」と自信がなかったんですが、漫画・アニメの「バジリスク」で、他の人のイメージと差がないことがわかってちょっと安心したくらい異様なキャラクターが出てきます。
他も、「うそでしょ?」と何度も読み返してしまうような技というか術というか特徴を持っている癖のあるキャラクターばかりで、ほんと、よい意味で酷い(笑)。

で、困ったことに、それぞれ10人の中に、それぞれの一族の頭領の孫がいちゃうんですが、その二人が恋仲で(禁断の恋ってやつです)、「これ、最終的にどう収拾つけるんだよ」と心配しながら読み進めていくことになります。
だって、最後の一人になるまで戦うというというのが命令ですから…。

ここまでの紹介で「読んでみようかな」と思った方に、少しご注意を申し上げると、この作品に限らずですが、山田風太郎作品はエロ度が高いです。
作品によって差はありますが、本人、意図してエロを盛り込んでるらしいので、他の著者の時代小説、歴史小説に比べると、山田風太郎作品はエロ度も一線を画す気がします。
この作品でも、エロを売りにする忍者とか出てきます。
小学生なんかには読ませづらいです(笑)。

ただですね、人間というのはどうしてもその部分は切っても切り離せないのだと思うので、そういう意味では、それがないのも気持ち悪いかなぁと管理人は思うので、そういう点でも清々しいくらいにエロを出してくる山田風太郎は悪くないと思ってます。
ただ、中には「もはやエロしかないじゃん」っていう作品もあったりして、それはそれでどうかと思う部分もあるっちゃあるんですが(笑)。

そして、これもこの作品に限らずですが、山田風太郎作品には、全般的に漂うおどろおどろしさというか禍々(まがまが)しさがあります。なんというか、空は暗く、晴れの日はないみたいな。気味悪さみたいな感じかなぁ。
ただ、管理人はこの部分も好きです。
そういう意味では、これを原作とする「バジリスク」はちょっと絵が明るいかなぁというのが管理人の中では残念です。まあ、管理人のイメージなので皆さんのイメージとは違うかもしれないですが。

ですので、和田竜さんのような感じを期待されると、もしかするとダメかもわかりません。
でも、まあこの手の小説を読まれる方は、著者によって作風が違うのはご存知かと思うので問題ないか。

あ、それと、山田風太郎作品は全般的にフィクション度(空想度)が高いんですが、この作品は特にそれが高くて、史実に沿ってるのは、徳川家康とか忍者以外の登場人物が歴史上実在する人物であることと、徳川第三代将軍が家光になることくらい(笑)。
その他は、もう全部、作り話のはず。
もうそこは割り切って読むのがよいですね。

この作品を皮切りに、山田風太郎は忍法帖シリーズを次々と世に送り出していくんですが、この作品で登場する甲賀忍者の隠れ里「卍谷(まんじだに)」と伊賀忍者の隠れ里「鍔隠れ(つばがくれ)」は、その後の山田風太郎作品で伊賀忍者、甲賀忍者の故郷などで共通して使われていきます。このあたり、忍法帖の世界は全部繋がってるんじゃないかと思えてきてなんかいいんですよねぇ。

そうそう、本作を原作にした「SHINOBI」という映画が、オダギリジョーさんと仲間由紀恵さん主演で2005年に公開されてますが、観るとしたら全くの別モノと思って観てください。あまりに原作とかけ離れているので、原作を知る方達には酷評されまくっているようですが、個人的には嫌いじゃないです。オダギリジョーさんの甲賀弦之介は、あれはあれでかっこいいので(笑)。

というわけで、この作品の後、忍者ブームが起こったと言われるほど絶大な評価を受けた本作。
是非読んでいただきたい作品です。山田風太郎ワールドを堪能してみてください。

歴史には浪漫がある。

ノンフィクション度
0.5
奇想天外度
5
サムライ度
1
忍者度
5
エロ度
3.5
管理人満足度
4.5
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