こんにちは。
前回の投稿で「緊急事態宣言が解除になりました」と言ったと思ったんですが、もう、次(4度目)の緊急事態宣言が発動してました。
オリンピックは緊急事態宣言下で実施するということのようです。
そのオリンピックが間もなく開幕です。
それに合わせて、「テレワークデイズ2021」というものがあるらしく、7月19日から9月5日まで、テレワークが推奨となるため、会社もテレワーク中心とすることにしました。
これまで、週に1~2日の出社があったんですが、この期間中はそれもなくなります。
もう正直、どちらでもいいですね。
通勤の時間がなくなるので、読書時間の確保が難しくなりますが、自宅にいてもその時間をとるかとらないかだけなので、とるようにします。
読書時間をもっと設けたいのですよねぇ…。
仕事が忙しくってなかなかその時間がとれません。
通勤時間というのは、割り切って読書時間に充てやすいのでよいんですけどね。
まあ、よしとしましょう。
しかし、前回も言ったような気がしますが、こんな状態で東京オリンピックを迎えることになるとは…。
ホントに無念です…。
今回をスパッと飛ばして、まだ決まっていない数回後のオリンピックで優先的に実施させてもらうとかできないものかなぁ…なんて思っていたんですが、まあ、そんなわけにはいかないですね…。
残念ですが、こうなったら、制限が多いながらも実施されるオリンピックを、どういう形になるのかわからないですが、楽しみたいと思います。
さて、そんな状況の中ですが、一冊読了しました。
今回は、昨年3月に読了した「殿さま狸」以来となる蓑輪諒先生の作品で「くせものの譜」です。
ズバリ「くっそ面白かった!」です。
さすがは蓑輪諒先生と言わざるを得ません。
全5話のオムニバス形式の作品になるのですが、御宿勘兵衛(みしゅくかんべえ)という人物をキーに各話が成り立ってまして、全ての話が結びついて最後の第5話でクライマックスを迎える流れは鳥肌モノの仕上がりです。
最終の第5話は、もう途中で止めることができず、一気読みでした。
本作の内容が本当かどうかは、今となってはわからないと思いますが、本当にそうだったんじゃないか?と思えるくらい各話の登場人物の来歴に合ったストーリーになっていて、それら各話で点になっているような話が最終5話で線となって繋がる様は、改めて問いたいですが「これ、本当の話じゃないですよね?」と思うくらい、納得ができる作品でした。
ということで、ネタバレにならないレベルで内容の話をします。
まず、本作は先に言った通り、全5話からなるオムニバス形式の作品です。
各話の主人公はそれぞれ異なるんですが、その主人公達に近しい存在として、必ず御宿勘兵衛が登場します。
でも、この御宿勘兵衛が主人公なのは、最終の第5話だけです。
この御宿勘兵衛なる人物ですが、ぶっちゃけ、管理人知りませんでした。
しかし、史実上、実在する人物…どころか、管理人が知らなかっただけで、剛の者としてかなり有名な武将だったようです。
武田信玄の血縁(どの程度かは作品を読んで確認してください)という噂もあったらしく、本作でもその言い伝えを絡めた話があります。
さらに、御宿勘兵衛のすごさを物語るエピソードとして、ちょっとネタバレになりますが、大坂の陣に於いて、徳川家康に「西軍の武将で注意しなきゃならないのは、後藤又兵衛と御宿勘兵衛くらいだね」と言わしめたと言いますから、その凄さは想像に難くありません。
まさに、戦国時代のど真ん中を生きた武将と言っていいんじゃないですかね。
その御宿勘兵衛ですが、訳あって主君をかなりの回数変えています。
これが、この作品をオムニバス形式たしめている感じで、この御宿勘兵衛が、それぞれの環境で出会う人達との関わりを通じて、自分の生き様を自分自身に問うていき、最後はそれをあの有名な戦で昇華させていく、といった感じでしょうか、なんか、上手く言えませんが、管理人はそんな感じで読み終えました。
御宿勘兵衛が仕えた主君は、武田勝頼、北條氏直、徳川家康、結城秀康(徳川家康の次男)、松平忠直(徳川家康の孫、結城秀康亡き後の越前藩主)、豊臣秀頼でして、本作では、北條氏直~豊臣秀頼に仕えた時代を網羅してます。
お気づきの方がいると思いますが、実は御宿勘兵衛が仕えた家は次々に滅んでおりまして(徳川家康などは違いますが)、世間からは「厄神(やくがみ)」と言われていたとかいないとか。
本作でもそのあたりのくだりは当然ありまして、本人としては、当然ながら落ち目の家にわざわざ仕えるつもりはないわけで、意図せずそうなってしまうというのは、ホント、気の毒なことこの上ありません。
徳川家康に評価をもらっているくらいですから腕は間違いがないはずですが、そんな感じなので、各地を転々とすることになるわけです。
ああ、かわいそう…。
そんな状態の御宿勘兵衛なわけですが、その各地を舞台にした各話が非常に面白い。
正確には、各地と各家ですかね。
各話は基本的には独立してまして、それぞれ仕えた家での御家騒動のようなエピソードが描かれ、それに微妙に御宿勘兵衛が巻き込まれているという感じ。
どの話にもどんでん返しの仕掛けがあり、読んでいて「なぁにぃ!?そういうことなの!?」みたいな展開が必ずあります。
それらがホントかどうかは定かでないのですが、どの話を読んでいても、そんな感じなので、読んでいる手が緩むことがありませんでした。
そして、その流浪の時を経て、最終的に辿りつくのは、例のあの家でして、クライマックスはその家とともに迎えることになります。
まあ、先に仕えた主君の話をしてますから、どの家かはわかりますね。
そういうことです。
なんとなく御宿勘兵衛についてばかり話してしまいましたが、実際は、1~4話は御宿勘兵衛は主人公ではありません(関与する形で登場はします)ので、そこは読んでいただいて各話の主人公とその周りの曲者たちのエピソードを楽しんでください。
あまりここで話してしまうとネタバレになってよろしくないと思いますので。
それぞれの話も、涙なくして読めないものばかりで、ほんと、あの時代の大変さが胸を締め付けてくれます。
最後は、それまでの登場人物達との宿命を感じるエピソードが続々と登場しますのでお楽しみに。
最後の第5話が、そこまでの4話の集大成となるんですが、ここまでで管理人、思っていたことがありました。
本作、表紙の帯に「真田幸村になれなかった男たち」という煽り文句があるので、読み始める前までは、各話で、ある程度、真田幸村との邂逅があり、何かしら関係を持っていくのだと。
しかし、読み始めても、一向に真田幸村が出てくる気配がありません。
なので、ぶっちゃけ「なんだ、時期的にNHK大河ドラマの真田丸に乗っかって、こんな煽り文句になってんのかな」と思ってました。
が、最後の最後で出てきます。
まあ、出てきますよね、最後の主君がそういうことですから。
ここからは怒涛のクライマックスに突き進むので、読んで確認してもらいたいんですが、そこでの真田幸村は、期待に違わぬ貫禄を見せてくれまして、それはもう「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」と言われただけの活躍を見せてくれます。
歴戦の勇士であるはずの御宿勘兵衛も、認めざるを得ないレベル。
最後は、ホントに一気に読み切りました、面白かった。
いや、しかし、本作も蓑輪諒先生らしい感じで、どんでん返しが連発でした。
なるほど、蓑輪諒先生の作品の発表順を見ると、「うつろ屋軍師」→「殿さま狸」ときて、本作の「くせものの譜」、そして、管理人未読の「でれすけ」を挟んで「最低の軍師」にいくんですね。
蓑輪諒先生のトリックの妙味は、確かにこの流れで上昇していってる感じはします。
「最低の軍師」は凄かったからなぁ。
そうなると、未読の「でれすけ」「千里の向こう」はどうなのかな…と思ったら、おお!?佐竹義重の話と、中岡慎太郎の話なのか!?これは読まなければ。
ということで、そう遠くない未来に、この二冊も読むことにします。
最後に、恒例の映像化の妄想ですが、まず、映像化は可能ではあるものの、オムニバス形式の部分をどうするかですねぇ、正直、「壬生義士伝」の原作のオムニバス形式を、映画版は諦めた(もしくは、かなり薄めた)感があって、ちょっと残念だったので、そうされると微妙です。
キャストの想像を始めたらキリがないですが、御宿勘兵衛はダレかなぁと想像したら、パッと頭に浮かんだのは、阿部寛さんでした。
最近見てた「ドラゴン桜」の影響かなぁ。どうだろう、割と合ってると思いますが。
ということで、今回も愚にもつかないレビューとなりましたが、実在した剛の者 将御宿勘兵衛の生き様と、その周りにいた、これまた個性的な曲者(くせもの)達の生き様、そして、その彼らの戦いぶりを見事に昇華させる怒涛のクライマックスが激熱な本作「くせものの譜」、是非読んでみてください。
蓑輪諒先生お得意のどんでん返しも炸裂しまくります。
めちゃくちゃ面白いですよー。
歴史には浪漫がある。
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