上杉家のために生きた愛の武将の足跡を忠実に描いたノンフィクション小説的な「軍師 直江兼続」

星亮一

一つ前に読んだ「小説 直江兼続〜北の王国〜」で、兼続の室について、管理人の情報と異なるところがあったので、過去に読んだものを漁ってチラ見しようと思ったら、面白くて、結局、完全再読してしまったのでご紹介。(しかし、件の室問題については、確証は得られず。)

歴史作家の星亮一先生が、少し先生の意見を交えたエッセイっぽいテイストを盛り込みつつ、史実を忠実になぞっていく、あんまり小説っぽくないんだけど、多分、ノンフィクション小説になるのかな的な作品。

直江兼続が樋口与六の名前でいた頃から、亡くなる60歳までの足跡を、個々のイベントの掘り下げはそこそこに、全般を網羅する感じで描かれていくので、直江兼続をある程度知っている方にはちょっと物足りないかもしれないですが、これから知ろうという方にはオススメかなと思います。

各章の終わりには、その章で星先生的に解説しときたいんであろう人物や土地の解説などが書かれていて、「あ、もうこの城、跡形もないのね」とか「あ、そこにはそうやって行くのね」みたいな補足があり、創作でなく、史実というか事実というかを得たいなぁという方にもよいんじゃないかと思います。

管理人は再読ということがあるのと、まあまあ直江兼続を知らなくもないので、全般的に再確認みたいな感じでしたが、まずはこれを読んでから、すでにご紹介済みの「直江兼続と妻お船」(近衛龍春)とか、「小説 直江兼続〜北の王国〜」(童門冬二)とか他の作品を読むとよいのかなと思います。
それらは、違う視点から直江兼続を描いていたり、作品内で取り扱う時期を限定してる分、その期間内の出来事が詳しく描かれていたりするので、全体像をある程度知った上でそれらを読むとテンションが上がると思います。実際、管理人がそうでしたし(笑)。

しかしまぁ、あれですね。この作品でも、上杉景勝は当然ですが、秀吉と家康が存在感だしますね。
それだけあの時代の中で、直江兼続が上杉景勝に仕える身でありながら、そういった人達に一目置かれる存在だったんだろなぁと思わざるをえません。
実際、越後、会津、米沢に残した功績も大きいですしね。やっぱりかっこいいぜ直江兼続。

あ、因みに、そういう作りをしている作品なので、忍者とか奇想天外な技みたいなものはいっさい出てきません。まあ、奇想天外ということで言えば、秀吉のやった水攻めなんかは、事実らしいですが、奇想天外っちゃ奇想天外なんですけどね。それと他の作品でも時々出る兵糧攻めの悲惨さはこの作品でも少し出てきます。「小太郎の左腕」(和田竜)で林半右衛門が小太郎を戦場に駆り出すことを決意させる要素の一つでもありますね。あれ事実らしいですが、本当に地獄ですね…。

ということで、総評的には、なんとなく可もなく不可もなくみたいな感じになってしまいましたが、直江兼続をこれから知ろうという方には非常によいんじゃないかなと思います。
新潟、福島、山形の方は管理人のように故郷を愛してくれた稀代の英雄に想いを馳せて胸を熱くしましょう(笑)。

歴史には浪漫がある。

ノンフィクション度
4.5
奇想天外度
0
サムライ度
3.5
忍者度
0
エロ度
0
管理人満足度
3
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