こんにちは。
久しぶりの投稿になりました。
仕事が猛烈に忙しいのと、テレワークが多くなったことで、なかなか読書時間が確保できずにおります。
管理人には通勤時の読書タイムが必要なのですねぇ。
じゃあ、出社すればいいかというと、読書のために出社というのは、これまた本末転倒というか、そんなバカな話はないわけで、普通に通勤にかかる時間分、読書時間を確保すればいいんですね。
そうします。
さて、コロナへの警戒がだいぶ緩んできている感じで、先日のシルバーウィークでは、行楽地が結構な人出だったとか。
私はでかけませんでしたが、世の中的には徐々に外出や人が多いことへの抵抗が薄れていくんだろうなと思います。大丈夫なのかなぁ…。
そんな中、今回は、前々回の楠木正成(くすのきまさしげ)に続き、再び南北朝時代を攻めました。
南朝(後醍醐天皇)方で楠木正成に匹敵する、というか管理人的には、楠木正成を超える天才なんじゃないかと思える北畠顕家(きたばたけあきいえ)の活躍を描いた北方謙三先生の作品「破軍の星」です。
めっちゃ面白かった…。まだ読後の余韻があります…。クライマックスが激しすぎ…。
北畠顕家については同じ北方謙三先生の「楠木正成」を読んだ時に、正成が非常に評価をしていた人物として描かれていたんですが、そちらの作品の中では多くが語られなかったので気になっていました。
まあ、それが本作を読もうと思ったきっかけの一つでもあるんですが、読んでみたら思っていたよりも遥かに凄い人物で、楠木正成よりも取り上げられてもいいんじゃないかと思っているくらいです。
実際、そこどうなんでしょうね?
管理人が知らなかっただけで、めっちゃ有名なんでしょうか?
楠木正成ほどの知名度でないのは、公家だからですかねぇ。
庶民の立場に近い楠木正成のほうがヒーローにしやすかったとかあるのかもしれません。
そうなんです、公家の人なんです。北畠顕家は。
歴史上、こんなに有能な公家って他にいるんですかね?
管理人、勉強が足りないのでそのあたりわかっていませんが、相当有能です。
北畠顕家とはどういう人かと言うと、公家さんなので、要は朝廷(天皇)に近いところにいる家柄がよい人なのですね。武士とは異なります。
因みに、楠木正成は公家でも武士でもありません(と思ってますがそうですよね?)。
このあたりが、南北朝の話の複雑なところで、且つ、面白いところでもあるということを管理人は最近知りました。南北朝面白いです。
なんとなくですが、公家の人って「麻呂は…」みたいな「おほほほほ…」みたいな気取ってて、やたら金持ちぶってて贅沢はするくせに、そのわりにというか、だからというか、無能な輩みたいなイメージがあるのと、実際に本作でも大半がそのような気配を醸し出すんですが、しかし、この北畠顕家は違います。
なんと、16歳にして陸奥守(むつのかみ)という、今の東北地方一帯を仕切る大臣みたいな役職を朝廷に与えられ、実際に東北地方を鎮定していくんです。
顕家の父の北畠親房(きたばたけちかふさ)が、後醍醐天皇の右腕のような凄い人(「後の三房(のちのさんぼう)」と呼ばれる三人のうちの一人)だったので、確かに顕家はサラブレッド感があるんですが、たいてい有能な父親の息子はダメ息子が多い中(偏見です)、北畠家は息子の顕家が父をも凌駕する凄い子になっちゃうっていう稀なパターン(と管理人は勝手に思ってます)。
そして、16歳にして陸奥守に任ぜられた顕家は、その後、楠木正成らと共に南朝方のエースとして活躍するんですが、その活躍の仕方がエグイ。
もう誰もが惚れ惚れするほどのカッコよさ。まさに麒麟児。
実際、顕家が陸奥守に任じられて、陸奥(東北)に行った際、その実力の凄さを警戒した足利尊氏(あしかがたかうじ)は、顕家の抑え(監視的な意味)として、尊氏の右腕であった斯波家長(しばいえなが)を奥州総菅領(おうしゅうそうかんれい)とかいう幕府の東北担当みたいな任につかせて、東北に送りこんでいるくらいなので、名実ともに相当な実力者であったのは間違いないでしょう。
(この斯波家長との対立も本作の見どころの一つです)
そして、その顕家が、東北、関東(鎌倉)、関西(京都)を股にかけて八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍をするのを描いたのが本作「破軍の星」です。
前半のハイライトは、やはり、陸奥の強兵大軍団を、東北から京都まで超神速で移動させ、南朝方として、楠木正成、新田義貞らと呼応して足利尊氏を破った戦い(第一次京都合戦というらしいです)でしょう。
途中、鎌倉などで戦を交えつつ、5万人を東北から京都に移動させ足利尊氏を敗走させるんですが、それを20日間くらいでやり遂げます。
この時の陸奥守軍の移動の速さは、後の本能寺の変の際に豊臣秀吉がおこなった超有名な「中国大返し」を遥かに凌ぐらしく、もはや伝説レベル。
本当なんですかね、これ、実際のところ。マジでやばいんですけど。
本作ではこの時の北畠顕家に恐怖する足利尊氏が描かれますが、その様子はまさに、機動戦士ガンダムで12機のリックドムが次々に撃破されて自分にガンダムが近づいてくることに戦慄するコンスコン少将のそれで(ご存知ない方はスルーしてください)、もう顕家はガンダム、アムロな感じ。めっちゃ、ニュータイプ。うーん、かっこいい。痺れます。
南朝方はこの戦いで足利尊氏を九州まで敗走させるんですが、本当はここで尊氏の首を落とせていたら…。
その後の日本は違っていたかもしれません。まあ、それが歴史ですねぇ。
しかし、新田義貞ぁ…。このボンクラがぁ…。
新田義貞については、また機会があれば。
新田義貞作品を読むモチベーションは残念ながら今のところ低いですが…。イライラしそうで…。
とにかく、楠木正成も北畠顕家も、新田義貞には泣かされます。残念ながら、最後まで…。はぁ…。
まあ、とにかく、この第一次京都合戦も含めて、その他にも顕家の有能ぶりが、これでもかというくらいに描かれるのですが、部下も有能なんですよ。とびきりに。
そして、ほとんどが顕家よりも年上になるのに、顕家はその部下達と良好な関係を築いていく。
年上のその猛将達が「この人のために」となれるだけの実力と人間性を備えているわけですね、顕家は。
だから陸奥守の軍団は強い。
強いし、機動力も凄い。
このあたりの、顕家が彼らとの関係値を醸成させていくプロセスなんかも本作の見どころの一つなんじゃないかなぁと思います。
これを、17、18歳の青年がやってのけるのですよ。信じられない。
後半のハイライトは、やはりクライマックスの部分なんですが、これについては、本作を読んで確認していただきたい。
一度は九州に落ちた足利尊氏が、再び力を蓄えて京に上ってくるんですが、それを阻止するべく、朝廷から発せられる上洛の依頼に果たして顕家は応えるのか否か。
結果をご存知の方ばかりだと思うんですが、ほら、管理人のようにそのあたりよくわからずに読む方もいると思うので、そこはここではお話ししません。
実際、管理人、そこからラストまでは一気読みでした。猛烈に燃えました。
ということで、北畠顕家の活躍ぶりが凄いんだよ、ということをちょっと熱めにお伝えしてきましたが、もちろん、南北朝時代のことも勉強になりまして、当然ながら北方謙三先生解釈の部分も多分に盛り込んであるのだと思いますが、管理人としてはこの時代の知見を得るのに非常に役に立ちました。
「太平記」を北畠顕家目線で見ていく感じですね。
陸奥守ということで東北が拠点になるため、当時の東北・関東のことがよくわかります。
「楠木正成」では近畿地方がメインになるので、当時の東北・関東のことを知るのにも本作はよかったです。
そうそう「太平記」といえば、ちょうど今、BSプレミアムで、1991年に真田広之さんが主演で足利尊氏役を演じたNHK大河ドラマの再放送をやってまして、管理人それを毎週楽しみに観てるんですが(それもあって、今、管理人の中で南北朝時代がホットなところがあります)、そこで北畠顕家を演じているのは誰だと思います?
なんと、後藤久美子さんです。ゴクミですよ。ゴクミ。
管理人、とてもびっくりしました。けど、今のところ、いい感じです。
まだ、たいして出てきてないですが。
顕家の聡明かつ美麗なイメージは確かにあったので、誰が演じるのかなぁと思って見ていたんですが、父親の北畠親房役で近藤正臣さんが出てきた時点で「おぉ~」となりまして(良い意味で)、その後に顕家が出てきた時点で「おぉぉあぁぁあぁぁぁぁぁあ!!!!?」ってなりました。
最初は、まさか女性が演じるとは、と思ったんですが、まあこういうのもアリですね。
顕家の運命が、相当、激烈なので、そのあたり果たして観れるのかどうか。
合戦シーンとかあるのかなぁ?
この後がかなり楽しみです。
というわけで、今回もまた愚にもつかないレビューとなりましたが、南北朝といえばの楠木正成とともに、足利尊氏が恐れた稀代の俊英 陸奥守 北畠顕家の活躍を余すところなく描いた本作「破軍の星」是非読んでみてください。面白いですよぉ。
同じ北方謙三先生の「楠木正成」なんかも合わせて読むとよろしいんじゃないかと思います。
そして、管理人は、この後も北方謙三先生の南北朝シリーズを攻めていきたいと思ってますので、また読んだらレビューしますねぇ。
次の作品も既に横でスタンバっておりますので。
いやぁ、南北朝面白い!
歴史には浪漫がある。
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