作品タイトルと違って中身は第四次川中島合戦がほとんどなんだけどその後の謙信像を作り上げたと言われる作品なので越後人は読まないといけない「上杉謙信」

吉川英治

こんにちは。

ついこの間まで寒い日があったような気がするんですが、急に暖かくなったと思ったら、桜が咲き始めて、東京の開花宣言もありまして、そうこうしてるうちに、もう散り始めていて、ちょっと時間が経つのが早すぎて、今日、お風呂に入りながら「ヤバいなこれは」と思った管理人です。

実は、先週、仕事で大阪に行ってまして、帰京後、奥さんから「コロナ感染が怖い」という理由で、家での食事を隔離されていたのに、この週末の夕食の際に普通に食卓に食事が用意されていたので「あれ?別でなくていいの?」と聞いたら「もう10日以上経ってるから大丈夫でしょ」と言われて、昨日大阪にいたくらいに記憶が鮮明なのに、大阪に行ったのが10日以上も前だったかと思うと、この10日間何をやっていたのかと言われればそれなりにやってはいるものの、その時間の経過の速さに驚愕してしまって、この勢いで歳をとっていくと思うと居ても立っても居られない気持ちで一杯の管理人です。

「人生50年」と言っていた織田信長が49歳で亡くなり、越後の龍 上杉謙信が亡くなったのが48歳って早すぎでしょう。
同じくらいの年齢である管理人としては「この歳で死んだのかぁ…」と思うとなんだか神妙な気持ちになります。
幸いいまのところ大病を患ったこともなく、健康に過ごせていますので、残りの人生を悔いなく生きていきたいと改めて思いました。

しかし、東京の緊急事態宣言が解除になったものの、大阪は感染者が増加の一途を辿っておりまして、ちょうど、そんな時期に被って大阪での仕事でして、大阪のお店にて食事をしたわけですが、正直、店内のお客さんに危機感が全く感じられず、初めて「マスクをしながら食事」をしました。
過去にどこぞの偉い人がテレビで見せていた、食べてはマスクをして、飲んではマスクをして、というやり方ですね。
あれを、ガチで実践しました。
だって、大阪のお店で食事をしてる人たち、普通に飲んでて、大声で話しているし、決してお店の換気がいい気がしないし。
食べているメンバーも皆「これじゃ感染者増えるわ」と言っていた次第です。
たまたま管理人が行ったお店がそうだったかもしれないので何ともですけどね。
とにかく、ここまできたら、コロナ感染しないように気をつけたいと思います。

ということで、なんだが今までにない導入をしてしまった感じですが、まあ、そういうのを気にするブログでもないので気を取り直していきます。

今回もあまり間を開けずの投稿となりました。
今回はだいぶ渋い選択となりまして、管理人初読み著者となります吉川英治先生の「上杉謙信」です。

正確に言うと吉川英治先生の作品は初めてではなくて、管理人、中学生の頃に「三国志」を読んでいるのですが、もう相当昔のことであるのと、このブログで紹介するに至らないので、初読みとさせていただきます。

さて、そんな吉川英治先生の「上杉謙信」ですが、面白かったです。
面白かったですが、ちょっとボリューム不足は否めないかなぁ。
「上杉謙信」というタイトルなので、上杉謙信の生涯をそこそこまんべんなく語るものかと思っていたのですが、基本的には数回戦いが繰り広げられたといわれる川中島の戦いの中で最も熾烈を極めた第四次合戦の模様がメインになっている作品です。
「上杉謙信」という作品名ですが「川中島 第四次合戦」というタイトルでもよいくらい。

この作品が現在一般的に思い描かれている上杉謙信像を作ったと言われている作品らしいので、越後人の血が流れている管理人としては、一度は目を通しておかないとダメでしょうということで読みました。

管理人は、令和2年 10月15日発行の再版のものを読んだんですが、本作が発表されたのは、昭和17年(1942年)だそうで、この時期というのは、いわゆる「大東亜戦争」緒戦の大勝利に酔っていたころなんだそうです。古いですねー。
管理人の父も生まれてないよ…。
しかし、そこまで古い感じがしなかったのは、やはり、現在まで再版されているゆえんなのですかね。

とはいえ、本作を読んで、一番に感じたのですが、これまで管理人が読んでいた他著者の作品に比べて「読み方が難しかった」です。
吉川英治先生の作品ってこんなに難しかったかなぁ?
管理人が中学生の頃に読んだ「三国志」はこんなに難しくなかった気がするが記憶がないだけか?

読んでいるうちに慣れてくるので、後半は気にならないんですが、読み始めは久しぶりに難しさを感じました。
最終ページに編集部から、「みだりに表現を改編すべきでないことを熟慮し、ほとんど底本のままとしています」という説明が書かれているのですが、本文中に、史料の原文のままと思しき部分もありまして、そのあたりも含めて、やや、管理人には読むのが難しく感じました。
まあ、管理人がニワカすぎるのと、そんな管理人でも十分理解はできましたから、言っても、そうたいしたものではないんですが、そうですね、司馬遼太郎先生の作品以来かなぁ、ちょっと難しさを感じました。
そういう意味では、そんなに前じゃないんですが井上靖先生の作品はあまり難しさを感じなかったのは、文章がそういう作りをしてるんですかね?
文学とかをきちんと勉強したことがない管理人にはよくわからないですが、直感的にはそういう感じでした。

さて、そんな本作ですが、謙信33歳の時点からスタートします。
と見せかけて、実際とは時間にズレがあるんですね。
本作、冒頭に「謙信は、ことし三十三とはなった」と書かれてるんですが、史実では、本作で描かれる第四次川中島の戦いは、1561年とされてまして、1530年生まれとされている謙信ですから、計算すると31歳。
発表された昭和17年時点の史実とは異なっているということなのか、吉川英治先生の勘違いなのかが定かでないですが、とにかく本作は、川中島の戦いで最も大規模な戦いとなった第四次合戦のその時からスタートしてしまいます。
謙信の幼少の頃とかはありません。

ですので、冒頭でお伝えした通り、本作はまさに「第四次川中島の戦い」をメイン(というかそれだけ)とした作品になるわけです。

ただですね、数回ある川中島の戦いの中でも大激戦となった第四次ですから、見どころはてんこ盛りでして、作品名が「上杉謙信」ではあるものの、武田信玄とのW主演という感じの作品になってますので、そういう作品として見てもらえれば全然オッケーなわけです。
ぶっちゃけ、「第四次川中島の戦い」という作品名でもいいくらいですが、とはいえ、その後の、超有名な「敵に塩を送る」のエピソード等も盛り込まれておりまして、全般的にはやはり上杉謙信の義を重んじるカッコよさが前面に来てるのでやはり「上杉謙信」となるのかなぁ。
「上杉謙信」作品としてみたときに、尺が足りないんですよねぇ、尺が。

第四次川中島の戦いは、本当に大激戦でして、おそらく後年語られていて、普通の人たち(って管理人もそうですが)がイメージする川中島の戦いというのは、この第四次の戦いなんだと思います。
管理人が昨年読んだ井上靖先生の「風林火山」の主人公 武田方の伝説の軍師 山本勘助が活躍するのもこの作品ですし、現在、長野県の川中島古戦場跡にあるこの像に示される有名な上杉謙信が武田信玄に切りかかったというエピソードが発生したのも、第四次川中島の戦いです。

この現場、管理人、2016年に訪れておりまして、2016年といいますと、そうですねNHK大河ドラマ「真田丸」が放送された年でして、その年のゴールデンウィークに「真田丸の聖地巡礼」と称して家族で行ったんですが、高速道路がめっちゃ混んでいて大変でした。
この年に行ったのが失敗。

とはいえ、上田城址、松代(海津)城址、善光寺、真田宝物館、川中島古戦場跡など巡ることはできまして、どこもよかったんですが、第四次川中島合戦で主戦場となり、本作でも当然舞台となった、現在、川中島古戦場跡がある八幡原(はちまんぱら)は、確かに、非常に見晴らしがよい平原でして、それでいて、なんとも言えない神妙な気配があったことを覚えています。
あの地で、かつて、数千、数万の人間が討ち果てたと思うと、ちょっと夜にあの道を車で走るのは勇気がいるかもしれないと思います。
怖い話もきっとあるんだと思いますよ、あのあたり。
そんな気配を感じる場所ではありました。
ただですね、上田城址にしろ、松代(海津)城址にしろ、善光寺にしろ、あの時代の雰囲気は非常に感じられ、特に松代(海津)城址から見る山々の景色は、当時の彼らも同じものを見たのかもしれないと思うと、かなり胸熱でして、管理人、Twitterのヘッダ画像は松代(海津)城の大手門?にしてます。
NHK大河ドラマ「真田丸」のオープニングで、門をかいくぐっていく様がCG?で描かれますが、あれ、松代(海津)城のそれのはずです、多分。

かなり脱線してしまいました「上杉謙信」に戻ります。
が、本作は、本当に第四次川中島の戦いがすべてなのですよね。
もちろん、その中での上杉謙信が描かれますが、そこはもう、世間一般にイメージされている上杉謙信でして、もうカッコいいんですよ、あんまり説明いらないですよね。

流れとしては、第四次川中島の戦いに突入することになったエピソード(本作で描かれるエピソードは史実とは異なる?)から、第四次川中島の戦いが描かれまして、その後、上杉謙信が妻女山に陣を敷き、武田信玄が遅れて海津城に入り、そこからは、双方が様子をうかがって膠着状態を維持するという史実に基づいた描写になります。
しかし、本作にも記載がありますが、地理的にみると、よくもまあ、上杉謙信は妻女山にまで入り込んだなぁと思う次第。めっちゃ、敵(甲州軍)の領地内に入りまくってる。
その意図が理解できず攻めあぐねる武田信玄と、武田信玄の様子をうかがって打って出ようとする上杉謙信の緊張感ある様子に、読んでいるこちも息が詰まりそうになります。
そして、そこから、開戦に至る動きと、開戦後の顛末が一挙に描かれますが、それは読んでのお楽しみ。

武田信玄についてもかなり描かれまして、なんだろなぁ、この作品は、上杉謙信と武田信玄の対立を描くと同時に、あの時代のお互いを認めあった武将同士の思いの交錯を描いたような感じになっていて、そうだ、ガンダムでいう、アムロとシャアのような感じというか、なんだかそういう雰囲気を醸し出したものになってます。
うーん、ガンダム知らない人には伝わらないけど、まあ、仕方がない。

あ、そうだ、本作内で明言されてますが、上杉謙信は織田信長とは仲が悪かったというか、織田信長とは真逆な思想を持っていたということなんですかね。
幕府を潰そうとする織田信長と、あくまでも幕府をたてようとした上杉謙信の姿勢も本作では言及しています。

だからかなぁ、正直、管理人は織田信長あまり好きじゃないんですよ。
織田信長、一般的には人気あるようなんですが(戦国武将総選挙で毎回一位だし)、管理人はあまり好きじゃないです。
あー、シャアだな、うん、シャア・アズナブルは織田信長的なんだ。
隕石落としとか過激なことをしようとするもの。
管理人は、その隕石落としを阻止しようとする(結果、阻止した)アムロのほうがいいです。
大人になったアムロね。逆シャアの時とか。
あー、そうか、一般的にもシャア人気あるなぁ。そういうところかなぁ。
なんだか、勝手に納得しました。
そして、武田信玄どこいった?という感じですが、まあいいですね。

ということで、今回は、これまで以上に脱線しまくって、全くレビューになってない感じになりましたが、有名な川中島の戦いのメインとなった第四次川中島の戦いを中心に、越後の龍 上杉謙信の人物像に迫り、現在の上杉謙信像の礎となったとされる吉川英治先生の「上杉謙信」、面白いです。
上杉謙信を語るうえで、新潟の人は読んでおかないとダメじゃないですかねぇ。
勝手なことを言ってますが。
是非、読んでみてください。

また、ゆっくり長野県(信州)行かないとなぁ。
もっと、ゆっくり、じっくり史跡巡りしたいです。

歴史には浪漫がある。

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