こんにちは。
オリンピックイヤーとなった今年のお正月、ほんの数ヶ月前、誰がこんな事態になると想像できたでしょう。参りました。
世界中を席巻しているコロナウィルスによって、多くの方が亡くなり、非常事態宣言まで発令され、まさに、世界も日本も未曾有の危機にさらされていると感じます。
管理人が子供のころ「8時だョ!全員集合」で楽しませてもらい、大人になった今も「天才!志村どうぶつ園」で楽しませてもらっていた志村けんさんまで亡くなってしまいました。管理人の職場がある麻布十番が好きだったそうで、管理人も道ですれ違ったことがありました。本当に残念でなりません。
本当に、本当に、1日も早い終息を祈るばかりです。
そんな状況のなか、果たして、呑気なレビューなぞしていてよいものかという思いもあったのですが、逆に外出自粛となった今だからこそ、自宅での読書を推奨すべく、新たなるレビューを待っている誰かがいるんじゃないかと思ったり思わなかったり、まあ、とにかく読み終ったんだから書かねばということで、書くことにしました。
ただ、すいません。いや、すいませんてことはないんですが、また、直江兼続にいってしまいました。このサイトでは、ダントツトップの4作品目です。どんだけ好きなんだ直江兼続…。
今回は、2009年に妻夫木聡くん主演でNHK大河ドラマになった「天地人」。…なんですが、著者の火坂雅志さん、2015年に58歳の若さで亡くなっていたのですね…。なんということか…。こちらも残念です。
直江兼続や管理人と同じ、新潟県の出身で、早稲田大学を出たということだったので、新潟でもさぞ優秀な学校を出たんだろうと調べたら、新潟高校だった。納得。新潟県内で一番頭のよい学校…。管理人の超ド田舎の中学校の同級生が一人受かってたなぁ、すげぇなぁ。因みにその中学校はもう統合されて無くなってんですよねぇ…。学び舎がないっていうのは、案外寂しいのですよ。記憶にすごくあるのに、もうそれは無いっていうね…。
管理人の話はさておき、その火坂雅志さんが書いた作品といったら、さぞ、直江兼続愛に満ちた作品なのだろうと思うと読まずにはいられず、読んでしまいました。だって、これから読もうとしてストックして買ってあった作品群の中にあるんだもの、そりゃ、先に手を出したくなるでしょ。
ということで、また、前置きが長くなってしまったんですが、作品評に移ると…面白いのは面白いとして、そうですね、管理人が過去にこのサイトで紹介した直江兼続関連書籍3冊と比較するのがよさそう。
過去に紹介してる3作品は以下ですね。
「直江兼続と妻お船」(近衛龍春)
「小説 直江兼続〜北の王国〜」(童門冬二)
「軍師 直江兼続」(星亮一)
改めて並べてみると、うん、やっぱり、どれともフォーカスしてるところとか、雰囲気が被らなくて、恐らく、最も一般受けするのは、本作「天地人」だと思います。
「小説 直江兼続〜北の王国〜」の直江兼続視点と硬派基調の部分を持ちつつ、描かれる範囲が「小説 直江兼続〜北の王国〜」よりもやや広く、「直江兼続と妻お船」で表現されるようなドラマチックさがあるというのがその理由。
「軍師 直江兼続」は、ノンフィクションの度合いが強いので、ちょっと「天地人」のテイストからは離れるかなぁという感じ。
「天地人」では、他の作品ではあまり描かれない上杉謙信とのやりとりも結構書かれるので、その点も面白いかもしれません。
ただ、よみものとしては、個人的には「直江兼続と妻お船」のほうが「天地人」に比べてやや楽しかったかなぁというのが今の印象。いや「天地人」も非常に面白いのですよ。
これは完全に管理人の嗜好の話で「直江兼続と妻お船」って、お船目線で話が進むところが非常に面白くて、例えば、「直江兼続と妻お船」が幼少の頃のお船と与六(兼続の幼名)のやりとりをきちんと描いてからの、お船と兼続の結婚があるのに対して、「天地人」はそのあたりがあまり描かれない中で、でも実は両想いだった、みたいな感じだったのですよね。
まあ、火坂さんが恋愛小説っぽさを狙ってるわけではないのしょうから、そういう意味では「天地人」のほうが普通で「直江兼続と妻お船」のほうが歴史小説っぽくないのかもしれないなぁ。いや、違うな、「直江兼続と妻お船」と「天地人」はフォーカスしてるところが全く違うんで、そうなってるだけだな。なんか納得しました。うん。
で、結果、どうかと言うと「天地人」と「直江兼続と妻お船」の両方を読むのがいいんじゃないかと思います(笑)。いや、でも、ホントです。
「直江兼続と妻お船」評は本サイトの過去のレビューを読んでいただくとして、「直江兼続と妻お船」がお船さん目線で進むのに対して、本作「天地人」は、バリバリに直江兼続目線で話が進みます。そこがいいんです。
「天地人」で直江兼続目線の、つまり男目線でのあの時代の、あの地域のことや、人物の関係に思いを馳せる一方で、「直江兼続と妻お船」でお船さん目線、つまり女性目線でのあの時代、あの地域のことや、人物の関係を思うことができるというのが最高。
是非、両方、読んでみて欲しいです。
さて、描かれる時代範囲ですが、本作では、直江兼続が17歳の頃から、一応、最後は亡くなるところまでではありますが、実質は大阪夏の陣のところまでで、更に言うと、関ヶ原までがクライマックスという感じ。
関ヶ原以降は、結構、薄めです。その分、前半で、上杉謙信とのやりとり等が多く、他の作品とはボリュームの持たせ方の部分が違うなぁと思って読んでいました。そのあたりも、著者ごとの熱の入れ具合の違いによるところがあるのでしょうね。
内容は、もう、史実に基づいているので、大勢においては当然他の作品と同じなんですが、前述のとおり、フォーカスする部分や、解釈の仕方だったりが他の作品と異なっているので、新たな発見もあり、非常に面白かったです。
例えば、御館の乱が「直江兼続と妻お船」では「景虎、気の毒かも…」ととれるような描かれ方をするのに対して、「天地人」では「景虎、くそ野郎だな…」と感じるような描かれ方をしていたり、直江兼続のキャラクターが、他の作品と比べて「やや野心的だな」と感じたりしました。こういうところも、複数作品を読むことの面白さだったりしますねぇ。
ハイライトは、謙信逝去から御館の乱のところと関ヶ原じゃないでしょうか。その他にも、真田幸村(源二郎信繁)や前田慶次郎(利益)らとの出会いなど、当然、読みどころは満載です。
あー、そうだ。本作で一点微妙だったのは、他の作品にはあまりない兼続と女性との絡みの部分。どうなんですかね、管理人は、兼続ってお船さん一筋って今まで思っていたんですが、実際はそうでもないんですかね?いや、そこまですごい絡みがあるわけじゃないんですが、本作の兼続は他作品と比べてやや気が多い感じになってまして、そこどうなんだ?と。
誰か、そのあたり詳しい方、教えて欲しいです。あの娘、あの女性って火坂さんの創作?それとも、それなりの史料があったりするんですかね?そこ、ちょっと、いや、わりと気になりました。
さて、あ、そうそう、本作を読んだ際、非常によかったのが、舞台となる場所の情景を非常にいい具合に頭に浮かべながら読めたことで、本作では、冒頭や前半に、妻女山(さいじょさん)や、川中島、上田といった、長野県の新潟寄りの場所が舞台になることが多かったんですが、管理人、数年前に「NHK大河ドラマ真田丸にちなんだ場所を訪ねてみないか」という自分勝手な思惑で家族旅行をしたことがあり、その際に、そのあたりを巡ったのですよね。なので、作品舞台への没入がしやすく、その点でも非常に楽しかったですね。読んだ後でもよいので、その場所に行ってみる、というのは非常に楽しいと思います。
有名な上田城の真田石。一個やたらと大きいのがそれです。
本作にも登場する松代城(海津城)。NHK大河ドラマ「真田丸」のオープニングのCGの門はこれです。
松代城(海津城)の櫓(やぐら)跡から見た風景。かつての英雄たちもこの景色を見ていたのかと思うと胸熱。
川中島古戦場にある上杉謙信と武田信玄の像。かっこいいー。
本作にも登場する善光寺。荘厳。
昨年夏には、直江兼続と上杉景勝が幼少の頃にともに学問を学んだという新潟県南魚沼にある「雲洞庵(うんとうあん)」にも行ってきまして、本作でも、回顧する場面などで登場したものですから、その時にはグッとテンションが上がりました。
雲洞庵の正門
「雲洞庵の土踏んだか」で有名な参道
雲洞庵の本堂
直江兼続公墓(本物は山形県米沢市の林泉寺)
実は管理人、2009年頃は歴史浪漫に目覚めておらず、まだ、NHK大河ドラマの「天地人」は見たことがなくて、原作を読んでからと決めていたので、これでやっと見ることができるようになりました。楽しみだったんですよねぇ、見るのが。
チラッとキャストを見たら、管理人的にはテンション爆上がりのキャスティングになってるようなので、今から楽しみにしてます。
見たら、ここに感想を追記しよましょうかね。だいぶ先になりそうですが。
というわけで、まただらだらと、愚にもつかないレビューになりましたが(そもそもこのサイトは、ネタバレなしを謳ってるので内容にはあまり触れないわけで、だいたいそうなりますわな)、まあ、NHK大河ドラマの原作になったくらいの作品ですから、面白くないわけがないです。
本作の執筆前、超優秀なのに名前が世に知れ渡っていなかった直江兼続を、直江兼続と同郷の越後人 保坂雅志さんが「俺が書かずに誰が書く」の気持ちと熱烈な愛を持って描いた本作「天地人」是非読んでみてください。面白いですよぉ。
歴史には浪漫がある。
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