タイトルからエロ度が高く寝技ばかりと侮ってはいけない、真田くノ一5人vs徳川伊賀5人の壮絶忍者バトルを描いた良作「くノ一忍法帖」

山田風太郎

山田風太郎の忍法帖シリーズの一つ。

タイトルからエロ度が高そうで、実際高いんですが、だからといって侮ってはいけない良作。
管理人の中では忍法帖シリーズでいちにを争うレベルで好きな作品。

時は大坂夏の陣が終わった頃。
この戦いで大阪城は落ち、豊臣家は滅んでしまうんですが、その大阪城が落ちる寸前、かの有名な真田幸村が真田忍者のくノ一5人に「秀頼(豊臣秀吉の子で豊臣家の後継ぎ。大阪の陣の豊臣方の大将です。)の子供をその身に宿し、将来、その子供達で徳川討つべし。」というとんでもない命令を下し、かつ実行します。
そして、実際にその身に秀頼の子を宿すことに成功します。

これは秀頼の奥さんである千姫(せんひめ)も望んでの作戦なんですが(千姫と秀頼の間に子供がいないんですね)、実はこの千姫、大坂の陣で豊臣家を滅亡に追い込んだ徳川家康の孫なんです。おぉ…。

そして、この千姫は大阪城陥落の前に、侍女らととも大阪城を脱出して、家康の元へ帰ることになります。
つまり、千姫と侍女たちは生き延びることができるわけですね。

が、この千姫が男前。女性ですが男前。
「私は豊臣の人間。豊臣を滅ぼした祖父許すまじ。」とおじいちゃんである徳川家康にたて突きます。
まあ、旦那さん殺されてますから、それもわかりますね。

一方の徳川家康おじいちゃんは、目に入れても痛くないくらい溺愛の千姫の帰りを今か今かと待っているんですが、そんな中、「どうも5人のくノ一が秀頼の子を宿したらしい。そして、千姫が連れ帰ってくる侍女たちの中にそれが少なくとも一人は含まれているらしい。」という情報を服部半蔵が持ってきてしまうから大変。

家康おじいちゃんも「豊臣の血を世の中に残してはならん!根絶やしにしてしまえ!」と激おこになりまして、服部半蔵が集めた伊賀忍者5人に、秀頼の子を身ごもったくノ一5人の暗殺を指示することから、身重のくノ一5人vs伊賀忍者5人の壮絶バトルが始まります。

つまり、徳川家康vs孫の千姫という形での戦いになるわけです。当然、家康おじいちゃんは全く望んでないわけですが…。

この作品はこの後にでてくる登場人物達も、実は実際に存在した人、もしくはそれを匂わせる人で構成されてまして、そこが最高によいんです。
ラストはかなり壮絶ですが、後の史実に絡ませて終わらせるあたりが絶妙で「こういう絡ませ方とか、山田風太郎はほんとに上手いなぁ。」とため息がでました。

タイトルから醸し出されるいかがわしさはありますし、実際、エロ度は高いので、おこさま向けではありませんが、おとななら大丈夫でしょう。
管理人おすすめの作品です。
ぜひ読んでみてください。

歴史には浪漫がある。

ノンフィクション度
1.5
奇想天外度
5
サムライ度
1.5
忍者度
5
エロ度
4
管理人満足度
4.5
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