こんにちは。
コロナのワクチン接種2回目から三週間が経ちました。
ファイザー製のワクチンですので、一旦はよしとされる期間が経過したということで、少しホッとしている管理人です。
一回目も二回目も発熱なく、副反応は注射箇所の若干の痛みくらいで済み、よかったなと思う反面、「これ、効いてんだろうか?」とちょっと不安がなくもありません。
とはいえ、そんな心配をしていても仕方がないので、とりあえずはよしと思っています。
報道を見ていると、9月末で非常事態宣言が解除の方向のようです。
個人的には、ワクチン接種をバッチリ終えているので「いいよ、いいよー」という感じではありますが、果たしてそれが正解か否か。
まあ、わからないですね。
ただ、ワクチン接種率もだいぶ上がってきているようだし、日々発表される感染者数の数も減ってきているので、そろそろ非常事態宣言を解除して、条件付きなどでいろいろな制限を緩めていっていいのではないかなぁと思っている次第です。
実際はどうなるか、です。
さて、そんな中、一冊読了しました。
今回はあれですね、前回の流れがありますので、その流れに乗りましてそのままいきました。
前回、秋山香乃先生の「氏真、寂たり」のレビューで匂わせてましたが、そのままいきまして、秋山香乃先生の旦那さんである鈴木英治先生の「義元、遼たり」を続けざまに読みました。
結果ですが、面白かったです。
ただ、面白かったのですが、個人的にはもう少し今川義元(いまがわよしもと)が家督を継いで以降にボリュームを割いた作品かと思っていたので、そうでなかったので、その点でやや期待が外れた感はあります。
ズバリ、本作は今川義元が今川家の家督を継ぐことを宣言する今川家のお家騒動「花蔵(はなくら)の乱」までがメインの作品かな、と思います。(花蔵は花倉ともいわれているようなのですが、本作では花蔵で書かれているので花蔵でいきます)
なので、義元、と名乗るのは本作品内では相当後半で、作品内ではそれまでの「栴岳承芳(せんがくしょうほう)」という名前、承芳(しょうほう)であることがほとんどなので、以降は承芳でいったほうがしっくりくるくらい。
なのでそうします(笑)。
ということで、「今川義元の戦国時代での活躍っぷりを見てみよう」という気持ちで本作を読むと、ちょっとがっかりしてしまう可能性がありまして、そういう方は違う作品(管理人も今のところ知らないのですけど)を選択したほうがよいのかもしれません。
ただ、本作は本作で面白いのですけどね。
前述したとおり、本作は当時の今川家のお家騒動「花蔵の乱」までがメインです。
とはいえ、実は管理人、「花蔵の乱」という乱を、前回読んだ「氏真、寂たり」で初めて知りまして、正直、そんなに大事件だと思っていませんでしたが、本作を読んで顛末を知り「ああ、今川義元、家督を継ぐにしても大変だったのね」と初めて知りました。
あれですね、管理人の故郷である越後で上杉謙信が亡くなった後に、上杉景勝と上杉景虎の間で発生した「御館(おたて)の乱」的なものが、今川家でもあった、ということなんですねぇ。
本作はその「花蔵の乱」をクライマックスに(実際は桶狭間ですけど、本作では桶狭間はめっちゃ少しなんです)、そこまでの義元、栴岳承芳(せんがくしょうほう)が描かれます。
いやぁ、栴岳承芳(せんがくしょうほう)って、また難しい読みでして、慣れないと無理ですよねぇ。
でも、本作を読み始めると、この承芳(しょうほう)が、全然しっくりきます。
管理人は、しばらくは義元を承芳(しょうほう)と呼べますね。
すぐ忘れそうですけれども。
このそれらしき名前の通り、本作は今川義元が仏門、つまりお坊さんになっている17歳からスタートします。
それで、名前が栴岳承芳(せんがくしょうほう)です。
苗字のほうの栴岳(せんがく)がなぜ栴岳(せんがく)かはわかんないんですよねぇ。
作品内でもそこは解説がなかったかと。(あったらすいません)
わかる方教えてください。
さて、今川義元は、今川家の四男なんですね。管理人、知りませんでした。
本作では、その四男である承芳が家督を継ぐに至るまでの顛末が描かれるわけですが、まあ、そうですね、当時は嫡男(長男)以外は、仏門に入れられる、というのが通例というのは聞いたことがありまして(確か、下手に普通にしてると、跡継ぎ問題の原因になったり、他国に人質に出される危険があったり、たしかそんな感じの理由でお坊さんにさせてしまっていたとかなんとか)、そんな流れから、四男の承芳がお坊さんをしててもそりゃおかしくないよね、という感じ。
で、本作の開始時点でお父さんである今川氏親(うじちか)は既に亡くなってまして、今川家は嫡男である今川氏輝(うじてる)が継いでるんですが、このお兄ちゃんが身体が弱く、当時、京にいた承芳が今川家の領地である駿河に「ちょっと帰ってきてくれない?」と言われるところからがスタートです。
氏輝お兄ちゃん、いい人なんだけどなぁ…。
四男なのに何故に呼ばれるのか?というところが、まさに本作のネタバレになるので言わないのですけども、まあ、そこからが、お家騒動「花蔵の乱」に繋がっていくのは想像に難くないでしょう。
そして、その帰国要請で承芳とともに帰国するのが太原崇孚雪斎(たいげんそうふせっさい)。
その圧倒的存在感で、本作はおろか、管理人的には「今川義元って、この人がいなかったらダメっていうか、この人をもってして”海道一の弓取り”は成ったんじゃね?」と思えて仕方がなく、今川義元の師匠でありながら、のちには今川義元の息子で「氏真、寂たり」の主人公である今川氏真(うじざね)の師匠でもあり、なんなら、徳川家康の師匠でもあるんじゃないかっていう超絶凄い雪斎(せっさい)師匠がガツンと登場します。
つまり、最初っから登場です。
なんなんすか、この方、雪斎(せっさい)さん。
もうやばいです。すごいです。
もう、本作の開始時点から、花蔵の乱まで、承芳のとる行動の如何は全てこの雪斎さん次第。
これ、本当なんですかね?
そうだとすると、今川義元の「海道一の弓取り」も「うーん」ってなっちゃうレベル。
「雪斎に頼りすぎじゃね?」みたいな。
もう、終始、承芳は雪斎との二人三脚状態で、雪斎が亡くなってしまうと、途端に桶狭間でアレではなぁ、という感じ。
実際はそこまでではなかったのかもしれないですが、今川義元の嫡男である氏真を主人公にした「氏真、寂たり」でも、その影響力が衰えを見せなかったところを見ると、相当に優秀な人物だったんだろうなぁと思います。
本作では、承芳とともに、この雪斎師匠が主人公といった風でもあります。
そして、その承芳・雪斎コンビに対抗するのが、承芳の兄で今川家の次男の玄広恵探(げんこうえたん)と福島越前守(くしまえちぜんのかみ)のコンビ。(”ふ”は入れ忘れじゃないです。入れないようです。”ふくしま”じゃなくて”くしま”。)
パッと見でわかるとおり、恵探も仏門に入っておりまして、悪い人ではなさそうな(本作を見る限り)のに、福島越前守にそそのかされて(るという感じもでないけれど)、今川家の家督を争って、承芳・雪斎コンビに対抗してしまうんですねぇ。
結果は歴史が示す通りでして、雪斎と福島越前守では役者が違った風。
それに付き合わされてしまった恵探が気の毒ですが、実際はどうだったのかなぁ。
恵探にもその気がなかったわけではないのでしょう。
あの時代の難しいところです。
このあたりの顛末が本作ではメインになります。
ちなみに、「花蔵の乱」というのは、この恵探がいたお寺 遍照光寺(へんじょうこうじ)が花倉(静岡県藤枝市花倉)にあり、そこで挙兵したからはそう呼ばれているんだとか。なるほど。
「花蔵の乱」以降は、ものすごい駆け足ですすむというか、一挙に20年くらい進んで、あっという間に桶狭間の戦いに至るので、うーん、やっぱりこの作品は「花蔵の乱」までなんだな、うん。
この20年くらいの間で、承芳は「海道一の弓取り」と言われるようになるんだろうか。
っていうか、そうでないとおかしいよなぁ。
お家騒動を制したくらいで「海道一の弓取り」と呼ばれるようにはならないよねぇ。
本作での承芳は、なんだろう、しっかりはしているものの、ものすごい人物という感じはなく、それでいったらむしろ「氏真、寂たり」の氏真のほうがやる子感満載。実際、やるし。
「ぶっちゃけ、妙心寺で禅の勉強してたほうがいいんだけど、なんか皆、俺に期待しちゃってるし、なんなら、まあやってみたくもあるからやっちゃうか?」みたいな承芳と、雪斎師匠がそんな承芳を焚きつけてその気にさせちゃってる、みたいな。
でも、そういった承芳の雰囲気と、その後、人質としてとった三河松平家の竹千代(後の徳川家康)も不自由なく育てたりといった様子を伺うにつれ「今川義元ってすごくいい人だったんじゃね?」という気配を非常に感じてまして、果たしてどうなんでしょう?
桶狭間の戦いで討たれなかったら、どうなっていたかなぁ。
うーん、残念。
もっと、しっかり挑んどけよなぁ、承芳ぅ…。
本作内では「争いのない世の中を作るために争いをする」というなんともやるせない葛藤を抱えて、太平の世づくりに挑む人物になっていましたが、実際がそうだとしたら、生きて欲しかった人物だなぁと思います。
ということで、今回もダラダラと愚にもつかないレビューになりましたがそろそろ閉めに入りましょう。
本作は、ズバリ、今川義元が天下に出ていくところまでの青年期を描いた作品です。
なので、今川義元の武者ぶりを堪能したい、という方でなく、今川義元の人となりを知るためにルーツから追ってみるか、という方におススメです。
本作は本作で面白かったんですが、本作で描かれなかった「花蔵の乱」から桶狭間までの承芳、もとい、ここからは義元、の活躍をまた別の作品で読んでみたいなぁと思う次第。
いや、必ず、読もう。何を読めばいいのかな?
恒例の映像化妄想ですが、そうですねぇ、本作の範囲内だと、2時間の映画ですね。
なので、本作で語られない20年間次第で、NHK大河ドラマにいけるかどうかです。
これね、義元と氏真の二代だったら全然NHK大河ドラマいけます。
あー、めっちゃ見たいなぁ、うん。
キャストはどうかなぁ。
今のところ、管理人の今川義元のイメージが、春風亭昇太さんが演じたへっぽこ義元(おんな城主 直虎)と少しだけへっぽこ感がなくなっただけの片岡愛之助さん(麒麟がくる)止まりなので、これを超えるカッコよさを感じさせる作品を読まないとだめそう。
本作では、そこを想像するには至れなかったかなぁ、基本、お坊さんだし。
ということで、妄想も終わりにしましょう。
「海道一の弓取り」と言われた今川義元のルーツが垣間見れる本作、是非読んでみてください。
特に「花蔵の乱」の顛末を知りたいという方にはオススメです。
今川家、もっと知りたくなりました。読むぞ。
歴史には浪漫がある。
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